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ドラフト候補の肖像

【ドラフト候補の肖像】国学院大・山崎剛 日々進化を目指す打撃の「求道者」

 

プロのスカウトは「安定感」を評価


国学院大・山崎は東洋大2回戦(10月11日)に東都史上24人目の100安打を達成。同大学初の快挙であり試合後、東海林野球部長から花束が手渡された


 マイペース――。周りに惑わされず、自分を持っている山崎剛は「プロ向き」と言える。

 10月11日の東洋大2回戦で東都大学リーグ史上24人目の100安打を達成した。国学院大では初の快挙である。

 大学野球は4年間8シーズン。単純計算で、1季で13安打以上が必要となる。山崎の場合は2年春にレギュラー定着と、実質6シーズンのハイペースでヒットを積み重ねてきた。二塁の定位置を奪取した2年春から今春(4年春)まで5季連続打率3割超えと、好不調の波がない。昨秋、今春とともに20安打を量産。通算89安打で今秋の学生ラストシーズンを迎えた。

 山崎はプロ志望届を提出しているが、そのあたりの「安定感」を評価しているのが、広島苑田聡彦スカウト統轄部長である。

「大学野球は勝ち点制で、連戦は多くて3試合。せっかく好調でも(次のカードが空き週になれば)2週間空くこともある。その中でもキープしているのは立派なものです」

 100安打への「プレッシャーはない」と語っていた山崎だが、記録を達成した東洋大2回戦時点で打率.282と、これまでの「安打製造機」にしては苦しんでいた。残り2安打としてから、2試合足踏み。「大学初」ということで、花束が用意されたが、ようやく「3度目の正直」で、東海林野球部長から手渡された。

 バットに当てるミート力は、まさにセンスの塊だ。山崎は「感覚」を大事にしている。日々進化を目指す打撃の「求道者」で、これまで納得したことはないという。基本的に好調時の打撃フォームを見返すこともしない。技術的な部分について本人を直撃しても、言葉が詰まる。なかなか具体的に表現するのが難しいようだ。本人にしか分からない「感覚」。一流の域に達しているからこその、「山崎ワールド」なのだ。

 お茶目な面もある。山崎ほどの打者になれば当然、相手投手は警戒する。報道陣に悩みを打ち明けた。

「変化球、もしくは外しかこないんです……」

 しかし、その直後に「自分もそうなったんですね!!」と、ニヤリ。なかなかユーモアな素顔も見せてくれる。

 ドラフト会議を10月26日に控える。個性あふれるヒットメーカー。「プロ向き」の山崎にはプレーヤー、人としての魅力が詰まっている。

文=岡本朋祐 写真=山口高明
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