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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

履正社高・安田尚憲の未来。岡田龍生監督が語るT-岡田との共通点と違い

 

2010年のパ本塁打王のオリックス・T−岡田(右)とドラ1候補の履正社高・安田(左)


 1週間後に迫ったドラフト会議で、1位候補に挙がる履正社高・安田尚憲。高校通算65本塁打を誇るスラッガーは、どこの球団に進み、そして、どんな成績を残すのか。多くの野球ファンの注目を集める中で、同校・岡田龍生監督は「プロでもホームランバッターを目指せる」と言い切る。

「積んでいるエンジンが違う。プロのスピードや、変化球のキレに慣れるまで時間がかかるかもしれないが、体は大きいし、ボールをとらえたときの飛距離は群を抜いている」

 飛距離だけではない。ほかに2つの理由を挙げる。「打撃の幅を広げるために」と、逆方向への打撃に磨きをかけてきた安田は、今夏の大阪大会、今宮高との4回戦で左腕から左翼席にアーチを描くなど、巧みな打撃も持ち合わせる。この点も指揮官が自信を持ってプロへと送り出す1つの理由だ。さらに例に挙げた2人の教え子の名が説得力を増す。

「岡田(T−岡田・オリックス)も山田(哲人・ヤクルト)も高校時代から逆方向へもスタンドインできた。2人ともプロでホームラン王を獲りましたけど、僕の中で“プロでやれるかどうか”の目安は、逆方向に打てるかどうか。その点でも安田は問題ないと見ているんです」

 そして2つ目が守備だ。高校3年間、三塁を守ってきた安田は守備もみっちりと鍛え上げられてきた。本人も「サードでレギュラーを獲りたい」と、こだわりを見せるが、その守備の大事さは、“先輩”が証明したと岡田監督は言う。

「岡田(T−岡田)がホームラン王を獲った2010年、オリックスの一塁手はカブレラでした。もし、外野を守れなかったら試合に出られなかったでしょう。岡田本人にも『打撃でカブレラに勝てたか?』と聞くと『パワーのレベルが違います(笑)』と即答でした。野球は打つだけではアカン。打ったら『走らなアカンし、守らなアカンぞ』と、岡田にも言っていましたし、安田にも言ってきましたから」

 一方で大きな違いが1つ。「練習試合で3安打しても、本塁打が出ないと納得しなかった」というT−岡田に対し、安田は「ヒットが出てればホームランにつながる」という考え方だ。賛否を問うわけではなく、T−岡田でいえば、“本塁打へのこだわり”が探求心を生み、安田は安打も見据えていたからこそ、前述の“打撃の幅”を広げることにつながった。

 だから、岡田監督は最後に言う。「岡田、山田、そして安田にも、プロを目指す子には『自分で考えること』が大事と言ってきた。プロは厳しい世界ですが、自分で考える力を持っていれば、大丈夫。安田も、いろいろと考えて練習し、『考える力』を持っているから心配していないんです」。

 自分の武器を発揮するためには何が必要か――。プロで活躍するために一番大事な“考える力”を安田は携えている。

文=鶴田成秀 写真=BBM
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