見事日本一に輝き、ファンの声援に応える王監督
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は10月28日だ。
いよいよ
福岡ソフトバンクホークス - 横浜
DeNAの日本シリーズが始まるが、1999年のこの日、10月28日は、ホークスが九州移転後、初の日本一に輝いたメモリアルデーでもある。
前身の南海ホークスが73年にリーグ優勝を飾って以来、長く栄冠から遠ざかっていたホークス。日本一に関しては、さらに1964年東京五輪イヤーまでさかのぼる。
89年からダイエーホークスとなり、福岡で再スタート後を切るも低迷からなかなか抜け出せずにいた。
99年の下馬評も決して高くはなかったが、
城島健司ら若手の成長、
工藤公康、
秋山幸二と
西武からの移籍組の投打のベテランの活躍、さらには鉄壁のリリーフ陣の活躍もあって、優勝。
王貞治監督、就任5年目のVだった。
続くターゲットは、王監督が
巨人監督時代の87年優勝時にも届かなかった日本一だ。相手は、現役時代の好敵手・
星野仙一監督率いる
中日ドラゴンズだった。
下馬評は圧倒的に中日有利だったが、日本シリーズ第1戦での工藤の13奪三振完封ですべてが変わった。中日Vのけん引役だった
関川浩一を工藤がズタズタにすると、以後も関川はまったく打てず、シリーズ通算21打数2安打とダイエー投手陣に完ぺきに封じ込められた。短期決戦の怖さを感じさせるシリーズでもあった。
歓喜のときは、3勝1敗で迎えた第5戦、敵地ナゴヤドームで訪れた。
先発はダイエーが
佐久本昌広、中日が
野口茂樹の左腕対決。1回裏に第3、4戦と連続完封負けの中日が22イニングぶりの得点で1点先制するも、3回表、ダイエー打線は相手のミスもあって一挙6得点で勝負を決めた。その後、中日が3点を取るも反撃はそこまで。6対4でダイエーが勝利し、王監督は指揮官として初の日本一となった。
「選手が喜んでくれて、それだけで十分。何も言うことはありません」と語った王監督が、「本日の主役」とたすき掛けして挑んだ祝勝会は、アル
コールのない「祝勝水」でも話題となった。
決め手となり、現役時代、西武時代から幾度となく日本一に輝き、短期決戦の機微を知り尽くした工藤投手はいまソフトバンク監督として勝負に挑む。果たして勢いに乗るDeNAに対し、どのような戦いを見せるのだろうか。期待は高まる。
写真=BBM