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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画06】『キャプテン川上と巨人の戦力』【1958年5月21日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えているが、今回から1日に1冊ずつバックナンバーを紹介していこう。いつまで連載が続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

恒例の座談会は『巨人・阪神戦を批判する』


表紙は打撃の神様、川上哲治


 今回は『1958年5月21日号』。創刊第6号で定価30円。カラーページはない。

 巻頭は『キャプテン川上と巨人の戦力〜背番号16は巨人のシンボルだ』と題し、表紙にもなっている“打撃の神様”、巨人の主将・川上哲治を特集している。

 話が前後するが、この年は川上の現役ラストイヤーで、さすがに肉体的衰えは明らかだった。文中にも「近目を豪快にひっぱる力はなく、渋い流し打ちが多くなり、“川上あっての巨人”時代は過去のものとなったかもしれない」という言葉がある。新スター、新人・長嶋茂雄の台頭もそうだが、水原円裕監督と品川主計球団社長の確執が年々深まり、そちらの「後継者」になる動きも進んでいた。

 週ベは昔から巨人ばかり、の声もある。否定はしない(できない)が、この号はセだけではなく、パのドル箱カード、『西鉄南海の舞台裏』という記事も6ページにわたって展開。56、57年と連覇していた西鉄に対し、ライバルの南海は、長嶋の同期で立大のアンダースロー、杉浦忠を獲得。4月26日のシーズン初対決に登板し、勝利投手にもなっている。

 センターのグラビアでは、首位打者を狙う阪神田宮謙次郎、10連勝ならなかった国鉄の金田正一投手らの写真が大胆に使われ、頭部への投球を危うく避けた川上のカットには『一瞬固唾をのむ』とあった。

 恒例の座談会は『巨人・阪神戦を批判する』と題し、巨人が川上、藤田元司、阪神が田宮、大崎三郎、さらに野球評論家の三宅大輔、南村侑広、司会はNTVの越智正典という豪華さだ。

 本誌記者の「巨人─阪神戦を批判していただきたいんです」という、とんでもない言葉から始まったが、内容を読むと「批判」というほどマイナスの見方ではなく、単に「検討し、評価を下す」の意だったようだ。

 そのなかで川上が前述の頭部への危険球について話しているのを抜粋する。当時、ヘルメットはあるにはあったが、使っている選手は多くなかった。

南村 ヘルメットをかぶってくださいよ。

川上 帽子の中に防御用のやつを入れているんですよ。

南村 大丈夫、大丈夫と言いますけれども国鉄のかぶっているような深いやつをかぶってくださいよ。やはりあれでなければいけませんよ。

川上 もう1回当たったからね。頭は一生のうち一回ぐらいしか当たりゃせん。一回当たったら死ぬまでにもう当たりゃせんよ。

 さすが神様と言うべきか……。「国鉄のかぶっているような深いやつ」というのは小社に資料がないが、あるいは国鉄の工事職員が使っているようなものが野球にも転用されていたのかもしれない。情報のある方は、ぜひコメント欄へ。

<次回に続く>

写真=BBM
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