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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画13】『特集 プロ野球夏の陣展望』【1958年7月9日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

阪神のページに「とんだ“桃色旋風”」


表紙は西鉄の鉄腕、稲尾和久


 今回は『1958年7月9日号』。創刊第13号で定価30円。カラーページはない。

 巻頭グラビアは、6月13日の巨人戦(後楽園)で20勝を達成した国鉄・金田正一だ。これで入団2年目から8シーズン連続の20勝達成となる。その後は2日後の15日に、今度は巨人打線が金田を打ち崩した試合を、11コマの写真を使って紹介。この時期の球界の主役が誰であったのかが、はっきり分かる構成だ。

 本文巻頭は『プロ野球夏の陣展望〜中盤戦の底流を探る』。それによると序盤戦のポイントは、「驚異的な金田の左腕」「ヨロメキを脱した巨人」「田宮の健棒」「大洋旋風」「南海の目覚ましい心境」「西鉄の不振」「“夜の王者”阪急の曲者ぶり」「暴れ回った東映」らしい。ヨロメキという言葉は、当時のベストセラーで、ややピンクなムード漂う三島由紀夫の小説『美徳のよろめき』から来ているものと思われる。

 脱線ついでだ。12球団週間報告の阪神ページに「とんだ“桃色旋風”」と見出しがあったので、ついつい見てみると、鴨居羊子という人気下着デザイナーから賞品で女性用下着が送られ、阪神のロッカールームに桃色旋風が起こったという話だった。

 鈴木三郎の『プロ野球勤務評定書〜前半戦の優等生と落第生』で、筆頭に挙げられている優等生ももちろん金田だ。鈴木がタバコを勧めると「昨年末から禁煙しました。おかげで体重が一貫目ほど増しましたが、その効果はてきめんに現れました。そのおかげで胃腸も快調。よく食べて、よく眠れます。快食、快眠、快便、快投。タバコなどには未練が残りませんよ」と答えた逸話も載っている。

 スポットライト『川上哲治とその周辺〜四番を去った打撃の神様をめぐる話題』では、衰えを隠せぬ川上に対し、広島で「カワカミーイ、お前まだ野球しちょるんか」というヤジが飛んだという、もの悲しい話も出ていた。引退、そして監督としての可能性にも踏み込んでいる記事だった。

 表紙は西鉄の鉄腕・稲尾和久。ただ、中ではほとんど扱われていない。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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