週刊ベースボールONLINE

週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画17】『1958年オール・スター特集号』【1958年8月6日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『特別レポート 球界に飛ぶデマを洗う』


表紙は右が広島長谷川良平、左が西鉄・中西太


 今回は『1958年8月6日号』。創刊第17号で定価30円。前回あったセンターグラビア真ん中のカラー見開きページはない。予告なく始まり、予告もなく終わった。

 巻頭グラビアは『巨人軍の名誉をかけて』のタイトルで巨人・水原円裕監督。「優勝せねば監督を辞任する」と公言してのシーズンだったが、好調に首位を走っている。

 本文巻頭特集は『今年も1勝1敗か〜1958年オール・スターの横顔』として、間近に迫った球宴を展望。平和台球場と広島市民球場での開催とあって、表紙は西鉄の強打者・中西太、広島のエース・長谷川良平が飾っている。

 注目として挙げられているのは、セの水原監督、パの三原脩監督(西鉄)の3度目の対戦、巨人・長嶋茂雄、南海・杉浦忠の立大同期の新人対決、国鉄の大投手・金田正一と西鉄の中西の対決、最後となるかもしれない巨人・川上哲治の勇姿などだった。両リーグの力は接近し、1勝1敗になる可能性が高いという結論になっている。

 ちなみに当時の入場料は、平和台が指定800円、内野指定700円、内野500円、子供250円、外野300円、子供150円、広島が指定A800円、B700円、内野指定600円、内野500円、子供250円、外野300円、子供150円で「だいぶ高額になっている」らしい。

 全体の入場者収入は平和台が1200万円、広島が800万円を見込まれ、50パーセントが選手養老年金、25パーセントがコミッショナー基金、12.5パーセントずつが両リーグの費用となる。

『長嶋茂雄とホームラン〜ゴールデン・ボーイは何本打つか』では7月16日現在でホームラン16本となった長嶋のバッティングについて分析。複数の解説者の予想では、ホームラン数について25本から35本の間で意見が分かれていた。

 いかにも“週刊誌”という記事もあった。『特別レポート 球界に飛ぶデマを洗う』では「巨人・藤田元司投手の引退説」「若林忠志の大毎監督復帰」「長嶋と司葉子(女優)の婚約」「西鉄・南海のセ・リーグ入り」などが扱われ、特に西鉄、南海のセ入りは、10球団1リーグ制への移行説も含めた陰謀的な話。どれもきな臭いが、いずれも最後はボカしたり、否定で終わっている。

 恒例の座談会は『外人部隊の野球メモ』。いずれもハワイ球界から日本球界入りした巨人のウォーリー・与那嶺、エンディ・宮本、東映のビル・西田、スタンレー・橋本、ジャック・ラドラが顔をそろえた。日本の野球生活で困ることを聞かれ、ラドラは蒸気機関車での移動を挙げ、「窓開けた場合、後ろの人が困る言うね。なぜか言うたら、みんなすすが入るから言うて、窓を閉めてね。扇風機だけでしょ」と答えていた。蒸気機関車のエントツからのもくもくと出るすすは、傍目には豪快だが、乗客には大迷惑。特にトンネルを通過する際、すべて客室に入ってきたという。なお、このコーナーには夫人もすべて顔写真で登場。時代を感じさせる。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング