2018年の高校生世代を代表する逸材の大阪桐蔭高・根尾。投打での二刀流を追求していく
第48回明治神宮野球大会4日目(11月13日)、高校の部で大阪桐蔭高が創成館高(長崎)との準決勝で敗退(4対7)。新チームからの公式戦連勝が12でストップした。
四番・
根尾昂(ねお・あきら、2年)は試合後、悔しさをにじませた。
「自分たちの弱さが出た。力不足を感じた」
2回裏に1点を先制した大阪桐蔭高だったが、直後の3回表に2つの失策が絡むなどして一挙4失点で逆転されている。遊撃手・根尾の悪送球でも失点を許した。背番号6は7回からは3番手で登板したものの、9回表に痛恨の追加点を奪われている。
大阪桐蔭高は今春のセンバツで5年ぶり2度目の優勝。根尾は投手、遊撃手、中堅手の「三刀流」として注目を集めた。史上初、2度目の春夏連覇をかけた夏の甲子園は3回戦で敗退。根尾は同大会でも左の強打者として四番を任され、右翼手、三塁手をこなす万能ぶりで脚光を浴びてきた。
根尾以外も、大阪桐蔭高の同級生には才能豊かな選手がそろう。2年生ながら侍ジャパンU-18代表で中心選手だった
藤原恭大中堅手をはじめ、右腕・
柿木蓮、左腕・
横川凱、主将・
中川卓也三塁手、
山田健太二塁手と旧チームからの主力メンバーが新チームでも躍動した。
激戦区・大阪で春夏秋の3連覇を遂げると、近畿大会でも4試合1失点と圧倒して優勝。最速148キロ右腕の根尾は近江高(滋賀)との準決勝で16三振を奪い公式戦初完封を遂げると、智弁和歌山高との決勝では値千金のソロ(高校通算20号)を放って1対0で勝利し、投打でVの原動力となった。
「秋の日本一」をかけた明治神宮大会でもその勢いは止まらない。駒大苫小牧高(北海道)との初戦(2回戦)で4対2と快勝し、公式戦連勝を12に伸ばした。しかし、準決勝で九州チャンピオン・創成館高の前に惜敗。根尾は今大会2試合で1安打。9打席で4四球と、相手バッテリーの警戒が強かった。
「リードされる展開が今までなかったので、こういう場面も勉強していこうと言い合ってきましたが……。もっと、もっと練習して自分たちのやりたい野球を追求し、春のセンバツ日本一、(優勝)旗を取れるようにしたい」
根尾は飛騨高山ボーイズ時代から最速146キロを投げ込む「スーパー中学生」として騒がれ、世代を代表する選手でもある。「逸材ぶり」を証明する談話が試合後に聞かれた。スライダーで空振り三振を奪った創成館高の左腕エース・
川原陸(2年)は目を丸くさせて言った。対戦が決まると、前日までユーチューブで入念な研究、イメージを重ねたという。
「まさか、(三振が)取れるとは……。根尾君ら(大阪桐蔭は)オーラのあるバッターしかいなかった。ゲームをやれるだけでもうれしかった。どうせ、打たれるなら思い切っていこう! と。良い経験になりました」
根尾は試合後のインタビューで、多くの報道陣に取り囲まれたが、その受け答えは堂々としたもの。確かに17歳とは思えないオーラがあった。冬場の課題を聞かれると「守り、バッティング、ピッチング全部です。徹底的にやりたい」と、目を鋭くさせて言った。「二刀流」をさらに磨く、オフ期間が始まろうとしている。
文=岡本朋祐 写真=川口洋邦