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【高校野球】明徳義塾高・市川悠太 地元民としてのプライドを胸にマウンドに立ち続けたエース

 

明徳義塾高のエース・市川は今秋の県大会4試合、四国大会3試合、明治神宮大会3試合を通じ公式戦10戦を一人で投げ抜き、秋の「日本一」へと導いた


 鉄腕が全国頂点に立った。明徳義塾高の右腕エース・市川悠太(2年)は今秋の公式戦10試合(大会4、四国大会3、神宮大会3)を1人で投げ抜き、日本一へと導いた。第48回明治神宮野球大会高校の部決勝(11月14日)、明徳義塾高は創成館高を4対0で下し、36年ぶり2度目の優勝を遂げた。

 強気のエースである。中央学院高(千葉)との初戦(2回戦)を前にし、県大会で痛めた右内転筋痛が再発したが、患部にテーピングを巻いて投げ続けた。また、静岡高との準決勝の2回には、右手中指の爪が割れた。

「気にしていたら負ける。勝てば、今日で終わり。気合で投げました」

 準決勝まで3試合で18得点の創成館高打線相手に、キレの良いストレートと高速スライダーで94球の省エネ投球。4 安打完封と、背番号1はツケ入るスキを与えなかった。

 故郷・高知への熱き思いもある。高知市立潮江中出身。地元の明徳義塾高を進学先として選んだ理由を聞き、男気を感じた。

「(明徳義塾は)県外の出身選手が多いと言われる。高知県出身の自分がエースになれば文句は出ないだろう、と」

 明徳義塾高はかねてから、大阪など、県外から覚悟を持って入学してくる選手が、チームの中核をなしてきた歴史がある。市川は生粋の地元民としてのプライドを胸に「甲子園が近いので」と厳しい競争を勝ち抜いた。だからこそ、エースである以上、誰にもマウンドを譲りたくなかった。

 来春のセンバツ出場は確実。頂点まで最大6試合だが、質問するまでもなく「(神宮大会優勝は)まだ通過点。甲子園で優勝する。全部、投げます!!」と即答。高知県民の大声援を背に投げることにモチベーションを感じ、甲子園でも腕を振り続ける。

文=岡本朋祐 写真=川口洋邦
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