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2018年の柳田悠岐に“慢心”はない

 

柳田の視線は早くも来季へ向けられている


 ソフトバンクが2年ぶりの日本一奪回を成し遂げてからわずか1週間。柳田悠岐は早くも宮崎の秋季キャンプで汗を流していた。「(日本一の余韻は)次の日くらいまではありましたけど。今はもう、来年に向けて頑張ろうという気持ちです」

 柳田個人にとっては新たなトライに手応えを得られたシーズンでもあった。打率を気にせず、より高い弾道を放つ。最初はそのスタイルがフィットしなかったというが、徐々にポイントが合っていき、結果にも結びついていった。

「まだまだコンタクトの部分でも、打球の質の部分でも、イメージとのズレがたくさんある。そのズレをちょっとずつ少なくしていくことができれば、もっともっと打てると思います」

 打率.310、31本塁打、99打点。最終盤に右ワキ腹を痛めて離脱があったことを考えても十分に思える成績だが、これをベースに「もっともっと打てる」というのだから、柳田のイメージと実際の打撃スタイルが一致したときには、どれだけの数字を積み重ねるのだろうという期待感がふくらむ。

 しかし、なぜこうも急ぐのか。痛めたワキ腹の不安はもうないというが、CS第5戦での電撃復帰から日本シリーズへの参戦は「多少どころではない」という急仕上げだったことを明かしている。ただ、「バットが振れる」。それだけで復帰を決断していた。であれば、少しは体と心を休める時間を作ってもいいのではないか。それが優勝旅行にも参加せずトレーニングを続けるという。

「2015年に日本一になって、次の年は優勝を逃しました。やっぱり慢心というか、そういうのが少なからずあったからああいう結果になったと思う。だから今年のオフは(日本一という結果を)リセットして。またイチから鍛え直して、新しい気持ちで来年を迎えたいと思います」

 2年連続の日本一へ、これほど頼もしい言葉はないだろう。柳田の中で、心の内に残すべきは1週間前の日本一の余韻ではなく、1年前の悔しさと教訓だというわけだ。ソフトバンクと柳田の2018年シーズンは、もう始まっている。

文=杉浦多夢 写真=小河原友信
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