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【週ベ60周年記念企画30】『日本シリーズ熱戦譜』【1958年11月5日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

日本シリーズ真っ只中に長嶋、広岡、稲尾、中西の座談会


表紙はバットケース横に立つ巨人長嶋茂雄


 今回は『1958年11月5日号』。創刊第30号で定価30円。中カラー見開きは『世紀の対戦』と題し、西鉄のエース・稲尾和久、巨人の新人にして四番、長嶋茂雄が私服で登場。タイトルどおり、2人の対戦は今回の巨人─西鉄日本シリーズ最大の注目である。

 日本シリーズは3戦までが締切に間に合ったようだが、結果は巨人の3連勝。過去の日本シリーズで3勝無敗から日本一を逃したチームはいない。

 本文巻頭は『特集日本シリーズの熱闘〜喜びと無念の中にあるもの』。マラソンの増田明美さんの解説のように、グラウンド内外のネタを絡ませながらの記事は、当時の週べの真骨頂とも言えるだろう。

 驚いたのが、『これが日本シリーズだ』と題し、巨人から長嶋、広岡達朗、西鉄から稲尾、中西太の座談会が掲載されていることだ。服装を見ると、このときカラーページの長嶋、中西2ショットを撮影したようだ。しかしまあ、シリーズ真っ只中によく実現できたものである。

 話の中で長嶋、広岡が対稲尾対策でインコースを捨て、アウトコースを狙わせていたという話まで明かしているのもすごいが、これで稲尾が配球を変えたという事実はなく、対談の中でも、

「ぼくのアウトコースを狙ってくるというのを聞いて、それなら僕はインコースを攻めようと思ったことは一度もないですよ。アウトコースを狙ってくるならアウトコースで勝負しようと思った」

 と語っている。

『スポットライト〜日本シリーズにすべてをかけた川上選手〜ミスタージャイアンツの気迫』では、日本シリーズ後の引退が確実視されている川上哲治選手の健闘ぶりをリポート。本人は“引退”を明言はしていないが、どの発言もそれをほのめかすものばかりだ。一部抜粋する。

「僕の場合は損得だけでは決められない。なぜなら“背番号16”はファンに愛され、育てられて今日に至ったのだ。“背番号16”は全国の少年ファンの偶像になっている。その偶像が泥まみれになることは絶対にさけなければいけないよ。“背番号16”が汚れてしまう。僕はいままで僕を支持してきてくれたファンの夢はこわしたくない」

 後ろグラビアでも川上特集があった。当時38歳。実働18年で積み上げた安打は、当時の史上最多2351本となっていた。定着していたかどうかは定かでないが、「ミスタージャイアンツ」は長嶋の前に川上の称号でもあったようだ。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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