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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画34】『特集 巨人の次期キャプテンは誰か? 川上・行方不明の波紋』【1958年12月3日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

新連載小説『黒いペナント』がスタート


表紙は巨人広岡達朗


 今回は『1958年12月3日号』。創刊第34号で定価30円。中カラー見開きは『ホームラン三銃士』と題し、巨人・長嶋茂雄中日森徹、西鉄・中西太が並ぶ。

 巻頭グラビアは、やはりカージナルスとの日米野球。ほかセンター、後ろグラビア、本文でも日米野球ネタは少なくないが、巻頭が大スター選手のスタン・ミュージアルが第10戦で、ようやく初本塁打とあるように、すでに相当数の試合をこなし、かつ思ったほどにカージナルス打線が爆発しなかったこともあって、全体にやや熱が冷めかけている印象もある。

 本文巻頭は『巨人次期キャプテンは誰か〜禅寺で修行する川上とその周辺』。実は、表紙文字では『川上・行方不明』とあって驚いたが、別にウソではなく、実際、10月末から川上の行方が分からなくなっており、自宅に連絡しても教えてもらえない状態が続いていたという。川上は日本シリーズの引退の意思を表明。ただ、今後を相談したいという品川主計球団社長の呼び出しにはいっさい応じていなかった。

 11月8日になって、ある新聞で「もだえる川上、禅の荒行」の見出しで、川上が岐阜の禅寺「正眼寺」で修行していることが明らかになった。

 週べでもフットワーク軽く、翌日すぐに記者を現地に飛ばしたようだが、寺は川上との面会を許可しなかった。その後、各社の記者が続々と集まり、大混乱になったため、11日になって住職が「川上君に会わさぬというのはなにも意地悪からではない。静かに参禅したいという川上君をそっとしておいてほしい」と声明を出した。

 それでスゴスゴ帰っていたら記者は務まらんとばかり、あくまで面会を求めると、ついに川上の会見が実現。川上は報道陣との面会を避けた理由について「1回、自分の体というより心を入浴させてみたい。そうして本当に裸になって、いままでのことをいろいろと考えてみたいと思った。みなさん記者としてご勝手なことだと思うんですけれど、ここで私、裸になって入浴しているところを見て、見てというよりも、そこに来て、そこで風呂まで入り込んでこられるということに対して、私は非常に悲しい思いがするんです」と語り、今の心境を聞かれると「赤子と同じです。誰でも赤子のときはこうでしょう」と言った。

 ほか、この号に関しては、新連載小説のスタートが最大のトピック。『黒いペナント』のタイトルで、有馬頼義著だ。

 モヤの深い晩の銀座の雑踏からスタートする話で、フィクションではあるが、野球界の闇に斬り込んでいくような内容になりそうだ。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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