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【週ベ60周年記念企画38】『特集 宙に浮いた“主将の座” 田宮謙次郎の計算』【1958年12月31日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

座談会『プロ野球入口に立って』



 今回は『1958年12月31日号』。創刊第38号で定価30円。早いもので、号表示では58年最後の号になる。

 中カラー見開きは『ヒーローの凱旋』。日本一となった西鉄のエース、稲尾和久の故郷別府での凱旋パレード風景である。稲尾は後ろグラビアでは逆に母と長姉を連れ、東京見物。タイトルはもちろん『東京だよお母さん』だ(前年、島倉千代子の「東京だョおっ母さん」が大ヒット)。

 本文巻頭は『特集 宙に浮いた主将の座〜広岡をめぐる巨人の暗躍』。ドタバタ続きだったこのオフの巨人だが、今度は広岡達朗の主将就任をめぐって騒動が起こったという記事だ。若手選手の言葉で「広岡さんのプレーは確かに素晴らしい。内野の要だ。しかしあの人は、あまりに自分本位に考える」という個所があったが、孤高の男の主将就任に若手から不満の声が上がったということらしい。さらに広岡をはじめとする大卒選手と川上ら高卒の間の溝にもふれている。昔も今も男の集団は面倒臭い。

 座談会は『プロ野球入口に立って』と巨人・王貞治広島・興津達夫、国鉄・赤木健一北川芳男が出席(いずれも来季入団が決定した男たち)。プロ入り後、投手か野手かで騒がれていた王は「ぼくはできたらピッチャーをやってみたいです」と言いながらも「キャンプでやってみて調子がわるければしょうがないですね」とも付け加えた。

 後ろでは『田宮謙次郎の計算』。A級十年選手として移籍するかどうか注目されていた阪神・田宮の密着リポートで、表紙の男でもある。

 阪神との交渉はもはやケンカ腰になっていたようだ。有力タニマチか法律家か知らないが、山村という、球団とは関係ないくせに、交渉ごとの席によく同席する人物が騒動のもとだった。

「人にさんざん世話を焼かせておきながら、君の態度はなんだ」と怒鳴り、いつもは、おとなしい田宮も「あなたが個人で1000万円出してやろうとでもいうのならボクもその意気に感じて、即座に契約しましょう。そんな気持ちもないくせに、あまり大きなことはいわないでほしい」と言い返したという。

 オフの「週べ」を見ていると、当時の人は血の気が多かったのだな、と思ってしまう。

 広告では『ホームランを放つ、大リーガー級の豪腕を生み出す太るための強壮飲料 濃縮液剤 クイック・ウエイト・アスコン』というのがあった。何やらすごそうである。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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