2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 悩んでいる王貞治
今回は『1959年1月28日号』。定価30円だ。センターカラーは『自信満々』と題し、西鉄の若きエース・
稲尾和久のスーツ姿での仁王立ち。巻頭グラビアは、巨人のハワイ出身日系人選手・
宮本敏雄の里帰りだ。記者も同行したらしい。メジャー以外の海外レポートは本誌初だ。
本文巻頭は『特集 トップスターは狙われている』。移籍関係の記事かと思ったが、西鉄・
中西太、巨人・藤田元司、国鉄・
金田正一、西鉄・稲尾和久、大毎・
田宮謙次郎のシンプルな人物モノが並ぶ。表紙文字は三原だが、これは中西が
三原脩監督の娘と結婚していたからか。少なくとも三原監督の話はない。
対談は新人ながら58年大活躍した巨人・
長嶋茂雄、
中日・
森徹が登場。長嶋の「ホームランを打つ感覚」についても触れられている。
調子のいいときは球が止まっているような気がする。クーッときてパンといくような、そういうときはやっぱり出ますね。
川上哲治のゾーンに“特訓なし”で至っていたということか。加えるなら、当時から「長嶋語」だったようだ。
その後には巨人の59年新人・
王貞治のインタビューもある。抜粋しよう。
投手に進むか、打者として進むべきか、すべてはキャンプに入ってから決めるつもりです。僕としては投手をやってみたいと思っていますが、いまいろいろな人から聞いたりして、もっとも伸びる道に進もうと思います。
もし投手がダメなら打者として生きるわけですが、その場合は打率を主にするバッティングをしたいです。もちろん単打主義というんじゃなくて、あててホームランを狙うバッティングでないということです。やっぱりホームランの魅力はなんとも言えないものですから。
まだまだ、悩んでいる。
時代を感じるのは連載『私の意見』で大洋・
秋山登の「自動車運転に障害なし」という一文。当時、野球選手が車を運転するのはよくないとなっていたらしい。余分な神経を使うのと事故の危険があるから、ということのようである。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM