週刊ベースボールONLINE

編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

2018年からスカウトとして中日を支える小山良男

 

2017年に中日の育成コーチを務めた小山良男氏は18年から同球団の編成部スカウトに就任する


「第3の人生」が始まろうとしている。2017年に中日の育成コーチだった小山良男氏(37歳)は18年から同球団の編成部スカウトに就任する。関東圏のいくつかの地区を任され高校生、大学生、社会人を視察していく予定だという。

 小山氏は横浜高(神奈川)で主将・捕手として松坂大輔(元ソフトバンクほか)とバッテリーを組み、1998年の甲子園で春夏連覇を達成。亜大でも2、4年と正捕手(4年時は主将)として全日本大学選手権を制し、4年時は春、秋のリーグ戦と神宮大会を含めたタイトル4冠を遂げた。大学卒業後、社会人野球・JR東日本を経て、中日では4年間プレーし、現役引退後はブルペン捕手、一軍捕手コーチ、二軍バッテリーコーチを歴任した。

 12月9日、東京都内のホテルで行われた亜大の創部60周年記念パーティーに出席。恩師、先輩、後輩らと旧交を温める中で、大学4年間についてこう振り返った。

「日本一は結果として出たご褒美であって、神宮での試合よりは、普段からの寮生活、練習で成長させてもらったことのほうが記憶にあります。全力疾走、走姿顕心、凡事徹底。当たり前のことを当たり前にやる。亜細亜の野球が、今の自分を作ってくれています」

 小山氏も言わずと知れた「松坂世代」だ。アマ、プロ球界で一時代を築いた超黄金世代も、すでに多くの選手がユニフォームを脱ぎ、今年も戦力外通告を受けるなど、曲がり角にきている。

「年齢のこともありますし、これは避けられないこと。残っている人は、全力で頑張ってほしい。第2、第3の人生でも皆で引っ張っていけたらいいと思います」

 小山氏はプレーヤー、裏方、指導者を経て、初めてユニフォームを脱ぐ仕事に就くこととなる。

「スーツを着ながらも、ドラゴンズの一員として、名古屋とは異なる場所で動くのは、未知の世界。横浜高校、亜細亜大学、JR東日本と、通った道しか知らないので、違うチームの練習を見るだけも新鮮味があると思う。楽しみな部分が多いです」

 現在は名古屋に自宅があるが、年明けには大学まで過ごした関東へ引っ越す予定だという。子どもが来年4月に小学校へ入学するタイミングで、そのあたりの家庭事情にも配慮してくれた球団には、感謝の気持ちしかない。もちろん、仕事で恩返しするつもりである。

「目に留まった選手が、縁あってドラゴンズに入団し、将来の中心選手になってくれれば、これ以上、うれしいことはないと思います」

 野球界で「小山良男」と言えば、知名度は抜群だ。加えて、これまでアマ・プロで培ってきた優れた人間性がある。スカウト活動においても、現場の信頼を得るのに、時間はかからないはず。とはいえ、キャッチャー出身の性格なのか「そんなことないです。先輩に付いていって、一から勉強したい」と、腰の低さと謙虚な姿勢は不変である。休みなく地道に動くスカウトは小山氏にとって、天職のような気がする。

文=岡本朋祐 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング