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背番号物語

【背番号物語】「#7」攻守走に万能な一流選手の象徴

 

背番号は選手たちの「もうひとつの顔」だ。ある選手が引退しても、またある選手がその「顔」を受け継ぐ。その歴史を週刊ベースボールONLINEで紐解いていこう。

光る世界の盗塁王


阪急・福本豊


 阪急で通算1065盗塁を積み上げた福本豊が4年目から現役引退まで背負い続けた背番号が「7」だ。1972年に「7」へ変更すると、シーズン106盗塁で世界記録を更新。のちに通算盗塁でも世界新記録を樹立した。

 福本と同じく盗塁王の常連で、福本よりも先に「7」を着けたのが、赤い手袋で巨人V9の打線を引っ張った柴田勲だが、柴田が自己最多のシーズン70盗塁をマークしたのは「12」時代で、「7」に韋駄天の印象を築いたのは、やはり福本と言えるだろう。

 近年でも松井稼頭央糸井嘉男が複数球団で「7」を着け続け、2017年オフ、松井は古巣の西武へ移籍して背番号も当然「7」に。福本や柴田も含め、ただの韋駄天という枠ではくくれない名選手たちだ。全体的にも単なる“走り屋”より、攻守走にハイレベルな万能タイプの“技術屋”が多い背番号となっている。

【12球団主な歴代背番号「7」】
巨人 与那嶺要、柴田勲、吉村禎章二岡智宏長野久義

阪神 金田正泰並木輝男真弓明信今岡誠、糸井嘉男☆

中日 森井茂野口正明森徹宇野勝森野将彦

オリックス 川合幸三衆樹資宏、福本豊、進藤達哉、糸井嘉男

ソフトバンク 岡村俊昭島原輝夫藤原満井口忠仁(資仁)、中村晃

日本ハム 西園寺昭夫白仁天岡持和彦中島輝士西川遥輝

ロッテ 矢頭高雄アルトマン、レオン、西岡剛(TSUYOSHI)、鈴木大地

DeNA 長田幸雄長崎慶一(啓二)、ポンセ鈴木尚典石川雄洋

西武 豊田泰光石毛宏典、松井稼頭央、片岡易之(治大)、松井稼頭央☆(2018〜)

広島 岩本章山本一義佐野嘉幸野村謙二郎堂林翔太

ヤクルト 中村栄町田行彦、豊田泰光、福富邦夫田中浩康

楽天 山崎武司、松井稼頭央
(☆は現役)

楽天が築いた新しいイメージ


楽天・山崎武司


 果敢な走塁で日本球界に革命をもたらした巨人の与那嶺要が好例で、3度の首位打者に輝いた巧打者でもあった。ロッテ時代の西岡剛やオリックス時代の糸井も盗塁王だけでなく首位打者も獲得している万能選手だ。

 古くは南海の岡村俊昭や阪神の金田正泰、西鉄黄金時代の豊田泰光ら、近年では横浜“マシンガン打線”で三番打者を務めた鈴木尚典や阪神の今岡誠らも首位打者の経験者だ。故障もあってタイトルはなかったが、巨人の吉村禎章も天才と評された好打者だった。

 一番打者でも、85年“猛虎フィーバー”の真弓明信や西武黄金時代の石毛宏典、さらに福本や柴田も、長打力を兼ね備えたタイプだった。長距離砲タイプも多く、中日の森徹や大洋の長田幸雄は怪力で鳴らしたスラッガー。中日では宇野勝が「7」を継承して長距離砲の印象を強くした。本塁打王のタイトルはないが、盗塁王の経験者でもあるダイエー時代の井口資仁も長距離砲タイプと言えるだろう。

「7」に新しい印象を築きつつあるのが楽天だ。初代は長距離砲タイプの山崎武司。オリックスを戦力外通告となっての入団だったが、移籍3年目には本塁打王、打点王の打撃2冠に。山崎が古巣の中日へ移籍すると、その「7」を継承したのが盗塁王の経験者で巧打者タイプの松井だった。タイプは違うが、それぞれの高い技術で新しいチームの精神的支柱となったベテランたちだ。初めて空席となる楽天の「7」には、楽天ならではの重みがある。

写真=BBM
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