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編集部コラム「Every Day BASEBALL」

クオリティースタートはもう古い?

 

来季は先発として毎試合6回無失点が目標だというドジャースの前田健太


 今季ワールド・シリーズまで進出したドジャース。昨年は先発陣に故障が多く規定投球回数を満たす投手は前田健太くらいだった。それが今季はほとんどの投手がフレッシュな状態でシーズンを過ごせ、ポストシーズンでは強力な4人の先発陣を形成した。

「シーズンですべてを出し切り、疲れてしまってはワールド・シリーズまで行くことはできないですから。チームは先発陣をいかにしてポストシーズンに入ったときにフレッシュな状態を作れているかを考えています」

 前田健太は、首脳陣にそう言われたという。先日まで行われていたウインター・ミーティングでデーブ・ロバーツ監督は前田を先発で起用することを明言。その前田は「6回無失点」が先発の仕事として理想だ、とも語った。これまでであれば先発の仕事は6回以上を投げて、自責点3以内に抑えるクオリティースタートの考えが主流だった。「うちのチームでは、6回以上で100球以上投げるのは(クレイトン・)カーショーくらいです」と前田。

 ドジャースは29年も世界一から遠ざかっている。しかし、ナ・リーグ西地区では5連覇を達成した。いわゆるポストシーズンで勝ち切れない状況が続いている。その中で、考え抜いたのがいかに先発陣を、シーズンを通しいい状態に保ち続けられるか、そしてポストシーズンまで持続させるかだ。それが5回まで80球くらいで(あわよくば90球6回)無失点で抑えること、という結論に達した。リリーバーたちに優秀な投手陣が控えているという背景もあるが……。

 来季もし、30年ぶりの世界一になったとき、このような起用法を各チームもさらに進めていくだろう。そうなると各チームのエースだけがクオリティースタートを求められ、ほかの先発陣は「6回までなるべく無失点」が主流になりそうだ。もしかしたら5年後にはクオリティースタートという言葉は死語になっているかもしれない。

文=椎屋博幸 写真=Getty Images
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