2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 西鉄・三原脩監督『四連覇への秘策』
今回は『1959年4月22日号』。創刊54号で定価30円だ。センターカラーは『オリオンズの新魅力』と題し、大毎・
田宮謙次郎、
山内和弘、
葛城隆雄の3ショット。巻頭グラビアでも
阪神から移籍した田宮と国鉄・
金田正一とのオープン戦での対決が特集されている。
本文巻頭は『ジャイアンツの全貌』。ペナント開幕を控えながらなかなか調子の上がらない
巨人の問題点を総ざらいする企画だ。対談企画も『巨人弱体説に答える』とど真ん中のタイトルで、
水原円裕巨人監督とNHKアナウンサー・岡田実が登場。水原は何度となく「若返り」「三年間みっちりやって」という言葉を使い、現在が過渡期であることを強調している。
この号では水原の宿敵、西鉄・
三原脩監督も登場。こちらはNTVアナウンサー、越智正典と『四連覇への秘策』と題した対談をしている。クールな印象が強い三原監督としては、意外と激しい言葉もあった。抜粋しよう。
世の中のことで人間に魅力があるのは金儲けとばくちでしょう。そのうち(プロ野球は)ばくちが一番激しいものだと思いますが、非常にスリルがあるんですよ。直接に金はかかっていませんが、オール・トータルで金になる。金をかけるという、いわゆるばくちのスリルと勝負のスリル。その両方が合わさっているんですよ、われわれの商売というものは。人間の人生というものも、長い目で見てばくちだと思うんですよ。だから運というものが、かなり大きな要素になっとるわけです。いくら頭がよくても、いくら力があってもですよ。そういうものに恵まれなかったら、もうあかんのだ。あかんというふうに言い切ったらいかんのやけど、なかなかうまくいかんですよ。運と言うものがなかったらこの人生は。
『12球団週間報告』からは近鉄のページから逸話を1つ。58年から胸マークを赤くした
広島カープは、この年からグラウンドコートを真っ赤なデザインにした。この広島にオープン戦でまったく歯が立たなかったのが近鉄バファローだった。近鉄ナインは「なぜこんなに広島に弱いのか」と聞かれ、こう答えたらしい。「バファローは赤いのに弱いからね」。オープン戦とはいえ、敗戦をジョークにしてしまう選手の意識の低さが、シーズンに入って猛牛・
千葉茂監督を悩ますことになる。
この年の4月10日には、皇太子・明仁親王(当時)と美智子さんが結婚の儀を行ったが、この号では「週刊15誌連合企画」(電通企画)として財界の大物たちの祝辞で構成された広告も入っていた。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM