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プロ野球回顧録

11年前の西武/チーム状態が万全にならず途切れた25年連続Aクラス入り

 

10年ひと昔と言うが、それだけ年月を重ねればプロ野球のチームも様変わりしてしまう。ここでは年末年始特別企画として、11年前、2007年のペナントレースを12球団ごとに振り返っていこう。

【2007年度チーム成績】
伊東勤監督
パ・リーグ5位
144試合 66勝 76敗 2分 勝率.465

【BASIC ORDER】
投手 涌井秀章(先発)
投手 岩崎哲也(中継ぎ)
投手 グラマン(抑え)
捕手 細川亨
一塁 カブレラ
二塁 片岡易之
三塁 中村剛也
遊撃 中島裕之
左翼 和田一浩
中堅 福地寿樹
右翼 G.G.佐藤
DH 栗山巧

好スタートを切ったが……


26年ぶりにBクラスに転落し、伊東監督は辞任


 投打の歯車が最後までかみ合わず26年ぶりのBクラスに転落した。借金10の66勝76敗2分けと大きく負け越したが、2ケタの借金を背負ってシーズンを終了したのは球団創設の1979年以来、28年ぶりの屈辱。成績不振の責任を取り、2004年から4年間指揮した伊東勤監督も辞任した。

 開幕ダッシュには成功した。自己最多の17勝を挙げて初の最多勝のタイトルを獲得した涌井秀章と、ベテランの西口文也が好スタートの原動力となった。涌井は3月27日のロッテ戦(グッドウィル)で初完投初勝利をマークすると4月までに4勝。西口も4月14日のロッテ戦(千葉マリン)まで開幕4連勝した。

 序盤戦はメジャー移籍した松坂大輔の抜けた穴を全員でカバーした。4月5日から6連勝、4月30日から4連勝するなど5月3日まで首位を守った。

 しかし、負けが込み始めたのは5月後半からだった。長いトンネルを抜け出せなかった。5月30日の阪神戦(甲子園)から6月11日の横浜戦(甲府)まで、西武では79年に球団ワーストの12連敗して以来となる28年ぶりの10連敗。その前日には6月以降では96年9月1日以来、11年ぶりの最下位に転落していた。一気に貯金も使い果たしてしまい、2度とAクラスにも浮上することはなかった。

 誤算が相次いだ。伊東監督の采配も裏目に出るシーンが目につき、行き詰まった。10連敗の間に頼みの涌井も2連敗するなど精彩を欠き、守護神の小野寺力もクローザーで結果が残せず、7月7日のソフトバンク戦(グッドウィル)から中継ぎへ。西口も4月までは踏ん張ったが、5月から負けが込み6月9日の中日戦(ナゴヤドーム)まで自身も5連敗した。

松坂に代わってエースとなった涌井


涌井は17勝を挙げ、最多勝のタイトルを獲得した


 打線も好不調の波が激しく不動のオーダーを組めなかった。3月に赤田将吾が右太もも裏肉離れで開幕二軍。ファームで今度は右肩痛に襲われ長期離脱を余儀なくされた。二番の片岡易之も4月18日の日本ハム戦(グッドウィル)で右ヒザを負傷して約1カ月半戦列離脱。ベテランの和田一浩も故障を抱え、本来の勝負強さは影をひそめた。4月から一、二番を固定できず、後半戦は日替わりオーダー。打線はつながりを欠いて、得意の機動力野球もうまく機能しなかった。

 そんな苦しいチーム事情のなかで飛躍を遂げたのは涌井。4月17日の日本ハム戦(グッドウィル)で完封勝利。6月4勝、7月3勝、8月3勝。06年は7月0勝、8月2勝、9月1勝に終わった右腕は、その試練の時を乗り越えて進化を遂げ、“ポスト松坂”の役割を果たした。

 新人の岸孝之も首脳陣の期待に応える活躍を見せたといえるだろう。4月6日のオリックス戦(京セラドーム)でプロ初勝利。1年目ながら先発ローテーション入りして欠かせない戦力となった。8月14日のロッテ戦(千葉マリン)で9勝目を挙げ、8月29日に右腹直筋肉離れのため3週間戦列を離れたが、一軍へ復帰すると9月21日のソフトバンク戦(グッドウィル)で念願の2ケタ10勝にも到達した。惜しくも新人王は逃したが投手陣を支えた22歳ルーキーの存在は光った。

 ただ、チームは最後まで浮上できなかった。6月13日から6連勝するなど一時は浮上の気配を見せたが、8月以降は再び大きく負けが込み始めた。8月31日からは楽天に初の同一カード3連敗。9月7日時点で、3位・ロッテとは10ゲームの大差。プレーオフ進出は絶望的となり9月26日のロッテ戦(グッドウィル)に敗れシーズンBクラスが決定した。今季は最後までチーム状態は万全の形にならなかった。

 結局、楽天の勝率も下回り、リーグ5位に終わった。シーズン76敗は球団史上ワーストで、勝率.465も球団創設1年目の.381に次ぐ屈辱だった。

写真=BBM
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