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編集部コラム「Every Day BASEBALL」

大谷は2人のマイクをうまく使うべし

 

エンゼルスの顔である2人の「マイク」。左がマイク・ソーシア監督。右がマイク・トラウト外野手


 
 2004年、マイク・ソーシア監督就任後初のア・リーグ西地区優勝(02年の世界一は地区2位、ワイルドカードでの制覇)が見えてきた終盤の9月。記者席でまさかの光景を見た。この年ブラディミール・ゲレーロとともに移籍してきて中軸打者として活躍していたホセ・ギーエン。快進撃の中心的存在の彼が、安打を放ち一塁ベースに立ったとき、代走が出た。

 この直後、ギーエンはヘルメットをダグアウトの方へ投げ、不満をあらわにした。その後、シーズン終了まで出場はした(148試合27本塁打104打点、打率.294)が、優勝後のポストシーズンは一切出場機会を与えられず、2年契約を待たずしてトレードとなった。ソーシア監督に反抗しての処遇で、致し方ない措置ではあった。

 その後、2015年シーズン中、ジェリー・ディポトGM(当時)がチーム不振による打撃コーチ解任に踏み切り、それによりソーシア監督と対立し、辞任に追い込まれた。2000年に監督に就任し、世界一1回、地区優勝6回と実績を残しているだけに、今やチーム内での権力は強大だ。彼に逆らうことは、エンゼルスで活躍できないことを示す。

 一方で、現在メジャーを代表する選手となっているマイク・トラウト。大谷翔平と電話で話をしたというが、真摯な態度の素晴らしい選手だという。アルバート・プホルスというスターもいるが、今やエンゼルスはトラウトのチームと言ってもいいだろう。彼は実績も十分で監督からの信頼も厚い。大谷には、チームの顔であるこのマイクの打撃の良い部分を吸収し、結果を残して二刀流はできるというところを見せてほしい。

 チームの長のマイクは、意外に選手を見限るのが早い指揮官。これまでも鳴り物入りで獲得した選手が活躍できないと見ると、不遇に追いやることも少なくなかった。それだけに二刀流を長い目で見てくれる存在だと思わない方がいい。だが実際には普段は気さくな監督で声はかけやすい。日本の監督よりは、言葉を交わしやすいはずだ。ここでしっかりコミュニケーションをとってほしいと思う。大谷は、この2人の「マイク」と上手に付き合うことが二刀流成功の道となるはずだ。

文=椎屋博幸 写真=Getty Images
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