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背番号物語

【背番号物語】「#24」獅子が誇る鉄腕の象徴

 

背番号は選手たちの「もうひとつの顔」だ。ある選手が引退しても、またある選手がその「顔」を受け継ぐ。その歴史を週刊ベースボールONLINEで紐解いていこう。

伝説の鉄腕から好打者へ


西鉄・稲尾和久


 2012年、西武で永久欠番となった「24」。前身の西鉄で黄金時代の立役者となり、「神様、仏様、稲尾様」と称えられた稲尾和久の背番号だ。その生誕75周年を機に制定されたものだが、西鉄が太平洋となったときにも永久欠番となる可能性はあった。

 ただ、このときは稲尾が固辞。その後、西武では若手時代の秋山幸二や移籍してきた平野謙が着けるなど、好打者がリレーした時期もあった。他のチームも同様に、鉄腕タイプの好投手やスター性のある好打者たちが並んでいる。

【12球団主な歴代背番号「24」】
巨人 田代須恵夫、樋笠一夫宮田征典中畑清高橋由伸☆(監督)

阪神 本堂保次渡辺博之遠井吾郎桧山進次郎

中日 古川清蔵福谷浩司

オリックス 黒田健吾、古川清蔵、戸口天従簑田浩二宮崎祐樹

ソフトバンク 岡本伊三美矢野実下柳剛内川聖一長谷川勇也

日本ハム 小鶴誠寺川昭二、下柳剛、陽仲壽(岱鋼)、森本龍弥

ロッテ 本堂保次(保弥)、醍醐猛夫芦岡俊明山下徳人吉田裕太

DeNA 小谷正勝遠藤一彦門倉健寺原隼人(早人)、齋藤俊介☆(2018〜)

西武 小田野柏、稲尾和久★、秋山幸二、平野謙、松永浩典

広島 磯田憲一渡辺弘基大野豊河内貴哉横山弘樹

ヤクルト 阿井利治大川章内藤尚行花田真人星知弥

楽天 高村祐山崎隆広高堀和也福田将儀三好匠☆(2018〜)
(☆は現役、★は永久欠番)

投打に“鉄”の男たち


広島・大野豊


 右の鉄腕が稲尾なら、左の鉄腕は1997年に42歳で最優秀防御率に輝いた広島の大野豊だろう。ダイエーと日本ハムで「24」を背負った下柳剛も44歳まで投げ抜いた左の鉄腕だ。

 右腕では、鉄腕タイプでこそないが、アキレス腱断裂から復活した大洋の遠藤一彦がいる。不動のエースからクローザーに転身しての再起だった。

 同時期には巨人に明るいキャラクターで人気を博した好打者の中畑清がいて、その系譜をさかのぼると、“8時半の男”宮田征典がいる。心臓の疾患で長いイニングを投げられず、鉄腕とは対極にいるようだが、V9の幕開けに貢献した65年には当時は珍しい救援専門の投手としてリーグ最多の69試合に投げまくった“鉄腕”だ。

 その後継者が天才打者と評された高橋由伸。2018年も「24」のまま監督として采配を振るい、歴代最長の21年目に突入することに。ライバルの阪神には低迷期の四番打者で、選手晩年は代打の切り札として存在感を発揮した桧山進次郎がいる。

 代打の切り札では巨人も負けていない。56年に史上初の代打逆転サヨナラ満塁本塁打を放った樋笠一夫は、そのパイオニア的存在。日本シリーズ初の代打本塁打も51年に樋笠が放ったものだ。

 桧山の「24」は将来の主砲と期待を受けた横田慎太郎が継承したが、現在は欠番。横田は17年2月に脳腫瘍が判明したが、寛解して11月に育成契約、支配下復帰を待っているためだ。横田もまた、故障や病気に屈しなかった名手たちが背負った「24」の後継者。その復帰も遠い日のことではないはずだ。

 ちなみに、選手として「24」の最長は19年で、大野と醍醐猛夫が並ぶ。毎日からロッテにかけてマスクをかぶり続けた鉄人捕手だ。4打席連続本塁打も放った強打が持ち味で、特に稲尾には強く、稲尾の連勝記録を20でストップさせた“鉄腕キラー”でもあった。

写真=BBM
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