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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画78】『特集 ライオンズ1億円の大攻勢』【1959年10月7日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『特別リポート 南海は巨人を意識している』


表紙は右が中日森徹、左が桑田武


 今回は『1959年10月7日号』。定価は30円だ。巻頭グラビアは『別所299勝の感激』。ついに巨人別所毅彦スタルヒン(巨人ほか)に続く300勝投手となる日が近づいている。

 本文巻頭は『特集 ライオンズ一億円の大攻勢〜三原脩の闘魂未だ消えず』。4連覇がほぼ絶望となった西鉄が総額7000万円とも1億円とも言われる補強費で、有望新人を取りまくっているという話だ。あわせて三原監督の留任も発表されたが、それに対しては、三原監督はいっさいノーコメント。オフの混乱がこの時点から予想される。

 ペナントレースはセが巨人、パは南海がともに独走。『特別リポート 南海は巨人を意識している』と早くも日本シリーズを展望した記事も登場している。

 対談は『川上哲治大いに語る』。NHKアナウンサー、岡田実が巨人・川上ヘッドコーチに迫っている。その中で大型新人として期待されながら、なかなか結果を出せない王貞治について触れた個所がある。抜粋しよう。

岡田 王君がまあ、正規の一塁手にならないまでも、ジャイアンツの一塁手として活躍する時期は、来年になりますか。

川上 そう、来年になるですかねえ。あの人はゆったりしてますからねえ(笑)。

岡田 あれがなんとも言えない魅力だな(笑)。

川上 いつ欲がついてくるかが問題でね(笑)。

岡田 なんか大器という感じがしますね。

川上 ほんとに。大物になりますよ、あれは。

 若手時代の王の性格はよく「大陸的」と書かれている。ルーツが台湾という“色眼鏡”もあるのだろうが、実際に、のんびり、いつもニコニコしていたようだ。

 新人では阪神で獅子奮迅の活躍を見せていた村山実が腰、左足、さらに右ヒジを痛めて9月4日の試合中に自らマウンドを降り、離脱。新人王の声もかかっていたが、チームが低迷していたこともあり、「無理しないつもりです。来シーズン、ダメになれば元も子もないですしね」と回復するまで登板を回避する方針のようだ。

 その後、完全に離脱したわけではなかったようだが、9月は結局、勝ち負けなしで10月に3勝0敗。この年の新人王が18勝10敗、防御率1.19(最優秀防御率)の村山ではなく、31本塁打でホームラン王ながら打率.269の大洋・桑田武となったのは、投票にあたる東京と大阪のマスコミの確執があったという話を聞いたことがあるが、この終盤の離脱も響いたのかもしれない。

※前回記事に対するコメントで9月以降入団なら日本シリーズ出場は無理、の指摘がコメント欄でありました。確かに61年9月入団の巨人の村瀬広基は同年の日本シリーズに出場できず、明らかに現編集部当コーナー担当者の「誤読」だったと思われます。週明けにもう少し調べてから近日中に前回記事を修正したいと思います。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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