立大の2018年のスローガンは『Go all out! Be aggressive.』。主将・松崎は新座グラウンドのセンター後方に掲げてある横断幕の前で「春のリーグ優勝」を誓った
立大が1月15日、新年の全体練習をスタートした。とはいっても、グラウンドで動く選手はまばら。朝8時開始のグループから夜19時40分開始まで、6組に分かれての時間別練習。試験も控えていることから授業最優先で、学校の合間に汗を流すというスタイルである。
前日14日に全体ミーティングを行い「春のリーグ戦優勝」と、向かうべき目標を確認し合った。昨年、立大は春のリーグ戦を35季ぶりに制すと、大学選手権も59年ぶりに優勝した。立大・溝口智成監督は昨年までに、任期である4年を終えたが、高い指導力に加えて「大学日本一」という実績が評価され、新たに4年の任期延長となった。
就任以来、4年8シーズンの順位を振り返ると、優勝、2位、3位、5位が各1回で、4位が4回という内訳。安定して優勝争いに絡めるようにはなったが、終盤で失速することも少なくない。昨秋も開幕4連勝(勝ち点2)を飾ったものの、明大に連敗を喫すると、なかなかチームを立て直せず、残る3カードでは勝ち点を奪えないまま4位で終わっている。
立大は1925年秋のリーグ戦発足から昨春で13度の優勝。早大45回、法大44回、明大39回、慶大35回(東大0回)と比べても、大きく水を開けられている。苦戦を続けてきた過去の歴史的背景も踏まえて、溝口監督は慎重な姿勢を崩さない。
「常勝チームになるのは難しいかもしれないが、少なくとも2年に1回は勝たないといけない。仮に3年も勝たなければ、『おい! 何をやっているんだ』と言われるくらいのレベルには持っていきたい」
昨春は久しぶりの栄冠で大騒ぎとなった。だが、さらに一歩前進させるために、周囲から珍しくないと思われるほどの頻度で優勝回数を積み重ねていきたいという。
こうしたチーム背景を冷静に判断した末、2018年のスローガンは『Go all out! Be aggressive.』に決まった。新主将の松崎健造(4年・横浜高)はその意図を説明する。
「立教はチームの流れが悪いと、ズルズル行ってしまうところがある。仮に結果が出なくても明るく、負のオーラを出さずにアグレッシブに。いつでも、どんな状況でも最後まで力を出し切ることが『Go all out!』に込められています。昨秋の反省点を打破していかないといけない」
自身も学生ラストイヤーを前にして「これまで監督からは攻撃を期待されたが、それに応えられていない。数字的な目標はありませんが、打撃でチームに貢献したい」と、チームリーダーとして、巻き返しを誓う。
淺間大基、
高濱祐仁(ともに
日本ハム)とチームメートだった横浜高時代に続く主将の大役である。
「当時はすべての責任を背負う立場で恐らく、日本一、怒られたキャプテンだと思います。ノイローゼになりそうになったこともありますが、これも良い経験です。立教は学生コーチ、マネジャーも充実し、協力体制が整っている」と、松崎は持ち前の元気印で、ムードメーカー役も買って出る。
このほか横浜高の同期では明大・
渡辺佳明、法大・川口凌が同じ東京六大学でプレー。「数字に興味がない」と語った松崎だが、この二人について話題を振ると表情を一変させた。
「3人のグループLINEがあるんですが、いつも、自分の成績は一番下で、悔しい思いをしている。(右投げ左打ちで)3人とも似たようなタイプの選手。最後はぎゃふんと言わせたい!」
もちろん、個人的な成績は二の次。スローガンが書かれた横断幕の前で、主将としてV奪回への決意を新たにしていた。
文=岡本朋祐 写真=BBM