週刊ベースボールONLINE

週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画89】『特集 水原と川上と広岡の間』【1959年12月23日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3500号が近づいている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

対談『大洋ホエールズの前進』


表紙は巨人長嶋茂雄


 今回は『1959年12月23日号』。定価は30円だ。本文巻頭は『水原と川上と広岡の間〜再建巨人の動脈を打診』。一度は辞意を表明しながら残留となった水原茂監督と、周囲がその後継者として認め、一時は新監督かと言われた川上哲治コーチの関係はいかに。さらにそこに選手のリーダー、広岡達朗はどう絡むか、という内容である。記事では3人を「巨人の動脈」と表現していた。

 川上は『巨人の若手よ闘志をもて』という企画で野球評論家・大和球士と対談。若手の指導について以下のように語っている。

「子どもと一緒です。かんで含めて、そしてそれを何回も何回も繰り返さないといけないですね。それを繰り返すうちに、いつの間にか身について、自分のものになってしまうということが、ぼくは必要なことだと思います」

 ほか対談は『大洋ホエールズの前進』。大洋監督に就任した三原脩と、前大洋監督で球団社長・森茂雄が登場だ。6年連続最下位のチームながら三原監督は悲観していない。

「幸いにというと妙な表現なんですが、セントラル・リーグの各チームというものは、わたしは実力はそう違わないというふうに見ているわけです。1位の巨人が五割で優勝しているという事実から見ても、このことはよくうかがえる。ですから2位の阪神以下、中日、国鉄、5位の広島あたりも、十分来年度の優勝を狙うチャンスはあると思うんですよ。したがってわれわれも、優勝とまではいかなくても、とにかく上位へ進出するチャンスは必ずあると思っているわけです」

 これはやや紛らわしい表現だ。巨人の勝率が五割とも読めるが、実際には、1位の巨人は勝率.612。五割は大洋の対巨人戦12勝13敗をさすものである。

 2位の阪神から5位の広島はすべて5割前後でゲーム差4の中にひしめき合い、大洋は5位の広島にも11.5ゲームと大きな差をつけられているから、数字だけ見たら最下位脱出のチャンスは皆無だが、対巨人のような戦いをほかとできれば、十分戦線はかき回せるという算段だ。

 早大コンビの森と三原の関係があって実現した大洋監督就任ではあるが、三原監督にも「いける」という計算はあったようだ。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング