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「男の美学」が似合う松坂大輔。リベンジをふたたび──

 

横浜高時代、松坂大輔の投球フォームには躍動感があった。9月で38歳となる2018年シーズンは中日でプレーする


 フィニッシュ後に右足を大きくクロスさせる、あの躍動感――。当時、多くの高校球児、少年たちがマネをしたものだ。1998年夏、京都成章高との甲子園決勝で圧巻のノーヒットノーランで、史上5校目の春夏連覇を遂げた横浜高のエースは輝いていた。

 松坂大輔は皆の「スーパースター」だった。

 あれから今年で20年、時代は流れた。「男の美学」とは何なのかを、松坂を通じて考える機会となった。自らの意思でユニフォームを脱ぐ選択ができるのは、プロ野球選手でも、ごくわずか。大多数は球団から「戦力外通告」を突き付けられる。すなわち「クビ」である。

 松坂大輔は昨年11月、3年間在籍したソフトバンクを退団。現役続行を明言して、新たな所属先を模索した。結果的に中日がオファーを出し、1月23日の入団テストに合格した。

 メジャー・リーグでも活躍し「怪物」の名をほしいままにしてきた、日本球界の宝である。ソフトバンク退団のニュースが飛び込んできたのは、チームが日本シリーズを制した直後。仮に「現役引退」を表明していれば、野球人生の結末としては、あまりに寂しい形となっていたはずだ。

 まだ、やれる――。松坂ほどの大物となれば、どんな事情があったにせよ、第三者の意向によりユニフォームを脱ぐのは、不本意で、プライドが許さなかったに違いない。ファンも、このまま終わる松坂を見たくはなかったのは当然である。昨今、苦しめられている故障さえ回復すれば十分、活躍する場はあると信じていた。

 リベンジ――。かつて西武に在籍した1年目、松坂が使ったコメントは流行語になった。2018年は待ったなし、文字どおり背水のシーズンに雪辱を遂げ、日本球界を驚かせてほしい。

 初めてのセ・リーグ、そして新天地・名古屋で、1年でも長く現役生活を全うすることを願う。だが、誰しもいずれは“その時”がくる。もう一花を咲かせ、野球人としての「最後の決断」は、自身の口から発信するのが、納得の引き際であるのではないかと思う。

 松坂には、そんな「男の美学」が似合う。「スーパースター」と呼べる選手は、ほんの一握り。甲子園を熱狂させた、あの躍動感あるフォームをもう一度、目に焼き付けておきたい。

文=岡本朋祐 写真=BBM

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