今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。おかげ様で、まもなく通算3500号を迎える。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 座談会『日本に来てから10年目』
今回は『1960年2月10日号』。定価は30円だ。巻頭グラビアは『肩の調子やいかに…別府で治療する藤田投手』。肩を痛めた
巨人・
藤田元司の近況である。それはそうだ。入団から3年間で173試合、924回3分の2に投げているのだから。
本文でも関連し、『“再起不能”といわれる藤田の肩〜黄金の右腕の真相はこうだ』という記事があった。
全般に“本当は大したことがない”という方向で書かれているが、別府の温泉で電気治療を受ける藤田は、再起不能説に対し、「まだシーズンも始まらないうちに再起不能と決めつけられませんよ。自分ではそうとは思わないし、再起できないなど思いたくもない」とイライラも感じられる言葉を残している。
本文巻頭は『東京に新球場ができる』だ。これは以前紹介した日本テレビ主導のドーム球場案がようやく具体化したというものだ。58年6月に計画を発表以来、まったく動きがなかったが、ここにきて、それ以外に2つ、都内で計3つの新球場案が浮上した。
1つは東映の『品川球場』。駒沢球場は東京都からの借り物であり、賃貸料が高い。なんとか自前の球場を欲しい球団事情からだ。
2つめは前毎日代表・黒崎貞治郎による『湯島球場』。
3つめが正力松太郎が進める日本テレビ主導の屋根付き球場である。カラーテレビ時代到来に向け、雨に影響されない試合中継をしたいという思いが強かったのだろう。場所は新宿の予定だった。
ご存じのとおり、3つはすべて実現していない。
アメリカではピッツバーグに屋根付きの運動場があったらしいが、これは換気のため屋根の中心部に穴をあけ、雨が降ってきたら強い風を送って、それを飛ばしていたらしい。ほんとか。
座談会は2つ。1つは『日本に来てから10年目』で、巨人・
与那嶺要夫妻が登場。もう1つは『移籍選手の腹の中』で近鉄・
大友工司、大毎・
飯尾為男、
広島・
河村久文が出席。逆に『土俵際で打棄られたトレード』では、
阪神・
小山正明の大毎入りなど決定寸前でストップとなった移籍の舞台裏を記事にしていた。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM