今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。おかげ様で、まもなく通算3500号を迎える。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『キャンプ地誘致合戦てんまつ記』
今回は『1960年2月17日増大号』。定価は10円上がって40円だ。増大号恒例のカラーグラビアは『しっかりやろうぜ』のタイトルで
別所毅彦、新人・
堀本律雄ら
巨人投手陣が肩を組んだもの。巻頭グラビアは『新人王をめざして』と題し、堀本ら新人たちが並んだ。センターグラビアでは『東映のハワイ便り』。この年の東映はハワイで事前キャンプのようなものを行っている。
対談テーマは「ベテラン・ルーキー」で『優勝めざして投げまくる』。別所と堀本の後、西鉄の
稲尾和久、
杉町攻、阪神の
吉田義男と
朝井茂治の3連発だ。
ほか西鉄・宇高勲、巨人・等々力栄、国鉄・楠見幸信、大洋・田村和夫と渋いスカウト座談会もあった。「おれたちの眼に狂いはない!」がタイトルだ。
スカウトの苦労について宇高は、
「まあ娘一人にむこが12人行って争奪戦やるんですから、値打ちが分からなくなっちゃうときがあるんだな、親たちが。それはそうでしょう。みんないいことばかり言いにいくんだから。スカウトはそれで土地の有力者に頼みに行くと、待ってましたという人もいるんだね、中には。また野球は盛んなとこは、そういう人がたくさん介在しているわけですよ。だからスカウトがああしたこうしたって、悪い面ばかり新聞や雑誌にのっかるけど、あれはスカウトが悪いんじゃないんだな」
本文巻頭は『水原構想による巨人再建の具体案』。課題は、肩痛に苦しむ
藤田元司の穴と五番打者とある。
水原茂監督は、
坂崎一彦三番、
長嶋茂雄四番で、五番は
藤尾茂、
王貞治、
宮本敏雄らを候補にし、大穴は早大で通算7本塁打を放った新人一塁手の
木次文夫としていた。王を外野に回す構想もあったという。
季節的に『キャンプ地誘致合戦てんまつ記』も興味深い。当時の大洋・
三原脩監督はキャンプ地に適した場所を聞かれ「地形、気候、グラウンド設備や風紀等を考えると本州では伊東、四国では高松、九州では島原と指宿」と答えていたが、実際には三保と明石。明石は中部謙吉社長の出身地でもあった。
ほか大毎は島原。これは島原の常連だった西鉄がキャンプ地を平和台にして空いたからだ。巨人は宮崎だが、前年の宿舎は巨人をお断り。記者やファンが来てうるさく、ハイクラスのお客さんに迷惑ということらしい。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM