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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画114】『特集 浜崎コーチは投手を育てたか』【1960年6月15日増大号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『二年目のプロ野球への決意』に巨人・王貞治、中日・板東英二


表紙は南海・杉浦忠


 今回は『1960年6月15日増大号』。定価は10円上がって40円だ。特別定価恒例のセンターカラーはなく、今回はページ増になっていた。

 本文巻頭特集は『浜崎コーチは投手を育てたか〜壊滅寸前・巨人投手陣の現状』。壊滅状態にあった巨人投手陣の中で、浜崎真二コーチは本当にしっかりした仕事をしているのか、という批判記事だ。藤田元司堀内庄の二本柱が故障に苦しみ、ほぼ新人・堀本律雄の孤軍奮闘状態になっていた。

 就任当時、「俺の仕事は藤田、堀内につぐ投手を作ることだよ。俺がイロハのイから叩き直してやる。大体若いヤツらは根性がなっとらん」とエラそうに(?)言っていた浜崎コーチへの風当たりは日に日に強まっていた。当の浜崎コーチもイライラを募らせ、投手陣にマスコミの取材を受けることの禁止、いわく「この状態で何をしゃべるんだ」。また「全員が毎試合3イニングは投げられる準備をしておけ」との非常事態宣言。かなり末期的だ。

『杉浦忠投手のユウウツ』は、前年38勝を挙げた杉浦がなかなか調子が上がらないという話。捕手の野村克也は「スピード不足としか言いようがない。武器である胸元でホップする球が影をひそめている。あれがなくてはほかの球が生きてこない」、杉浦は「どうも腰のキレが悪い。全体に体が重い感じでスピードが出ない」とそれぞれ分析。藤田もそうだが、西鉄の稲尾和久も故障離脱と、各チームのエース格が投げ過ぎによる故障に苦しんでいた年だ。

『二年目のプロ野球への決意』では、前年入団の巨人・王貞治中日板東英二が登場。いずれも大きな期待をかけられながら1年目は不本意な成績に終わっているが、不調の原因を聞かれた板東の答えがいい。

「別に不調なんていうことはないですよ。高校からいきなりプロに入ってすぐ働けたら、プロ野球の面白みなんかないと思うんです。自分ではあんなもんだと思っていますよ」

 さすがのメンタルだ。

『好調二人の大石』は大洋の大石正彦広島大石清の2人が登場。こちらもプロ2年目、内角を厳しく攻めるピッチングが持ち味の大石清の新人時代のエピソードがすごい。

 南海とのオープン戦で死球を2つ出し、さらに前打席で当てた大沢昌芳にふたたび危ない1球を投げた後だった。激怒した大沢が「この馬鹿野郎、気をつけんかい」と言ってバットを大石に投げつけた。バットは手前に落ち、大石には届かなかったのだが、大石はそれを拾い上げると、不敵な笑みを浮かべながら南海ベンチに向かって投げ返し、乱闘寸前になったというものだ。

 なお、以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。

 現在、週刊ベース60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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