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【大学野球】陸上部には負けない!名門復活を誓う青学大の主将・長野勇斗

 

2014年夏の甲子園、三重高で準優勝を遂げた際の主将・長野は青学大でもキャプテンを務め、今春は一部昇格を目指す


 2018年、青学大野球部はターニングポイントのシーズンである。14年秋に東都大学リーグで一部二部入れ替え戦降格して以降、15年春から昨秋まで3年6シーズン二部に低迷。16年春は二部優勝で入れ替え戦へ進出したが、一部最下位・中大に敗れ、チャンスを逃している。

 現役部員で一部(神宮球場)を知っている世代は不在だ。青学大は1984年秋から一部に定着して以降、2009年秋に二部降格も、1シーズンで一部復帰を果たしている。つまり、今春の一部昇格を逃すと、全4学年で一部を知らないチームとなってしまう。30年以上、先輩からつながってきた一つの歴史が途絶えることとなる。

 危機感を持っているのが、2018年の主将・長野勇斗(4年・三重高)である。高校時代は3年夏の甲子園で、主将(一番・中堅)としてけん引して準優勝。神宮でのプレーを夢見て青学に入学したものの、厳しい3年間を過ごしてきた。

「運命、試練だと思っている。青学は一部にいないといけない大学。この春は(二部)優勝して、一部に上がることが絶対条件」

 三重・松阪に帰省した正月の2、3日はテレビにクギ付けとなった。青学大が4連覇を遂げた「箱根駅伝」を往路、復路とすべてテレビ観戦した。

「授業で一緒の選手もいる。良い刺激。負けていられません」

 昨年12月1日、河原井正雄監督が4年ぶりに復帰した。リーグ優勝12度、全日本大学選手権優勝4度、明治神宮大会優勝2度の名将に再建が託された。河原井監督がまず、着手したのが環境整備。グラウンドの雑草を約2カ月かけてきれいにし、寮生活も見直した。

「野球ができて当たり前、という錯覚に陥っていました。細かい部分に気を配れていなかった。グラウンドを大切にする。寮生活を充実させる。野球以外の部分が野球につながるのだと、再認識しました。1回、監督を退任した方が戻ってきたわけなので、監督のためにも勝ちたい」

 実は長野は地元・三重で知人と会うと、肩身の狭い思いをしてきた。

「青学? 駅伝やろ!!」

 この言葉を聞くのが最もつらい。しかし、それが世間の見る現実と、受け止めるしかなかった。

「陸上部はあれだけの実績を残しているわけですから、野球部が追いつくためには、一部でガンガン勝たないといけない。今年はそのための筋道を、僕たちの学年で作っていきたいと思います。来年、帰省したときは『駅伝が強いけど、野球部も頑張っているな!!』と言われるように努力していきたいです」

 毎年、3月上旬はキャンプを張るが、今年は淵野辺キャンパス内の大学での練習が続く。例年よりも多いオープン戦が組まれており、長野主将は「負けるのが、嫌いな監督。勝ちたいという気持ちを持続させて、リーグ戦開幕を迎えたい」と意気込む。アオガクは駅伝だけではない。2018年、名門復活を遂げ、野球部の存在感を再び見せつける。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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