週刊ベースボールONLINE

キャンプ取材現場発

【巨人】高橋由伸監督を悩ませる第5の男【キャンプ取材現場発】

 

5番手から評価急上昇


大きなインステップが特徴的な巨人の新外国人投手のT.ヤングマン。インステップは打者からボールを隠すことが目的の1つだという


 ゴロアウトが4つに、三振が2つ。巨人の新外国人投手のT.ヤングマンが、来日後初めての対外試合のマウンドで奪ったアウトの内訳だ。

 2月18日、昨季の韓国チャンピオンである起亜タイガースとの練習試合(沖縄・那覇)に3番手で登板し、2イニングを無失点に抑える上々デビュー。しかも、2イニングともに内容のある、見応え十分なピッチングを披露した。

 同じく新戦力の野上亮磨の後を受けてマウンドに立った初めの回(5回)は、七番からの下位打線ということもあり、大胆にゾーン内で勝負。いずれも変化球で芯を外し、ショートゴロ3つの三者凡退に抑え、「私の特徴だと思っている。球数を抑えるためにシンカーとツーシームでゴロを打たそうと誘導した」と明確な狙いを明かした。

 続く2イニング目(6回)はヒット、味方エラーと四球で一死満塁のピンチを迎えたが、ここではギアを1段階引き上げて最後は連続三振で切り抜ける。1つめはカーブで空振り三振、2つめは釣り球のカーブで目線を上げつつ、最後はストレートで空振りを奪うなど、してやったりのコンビネーション。本来は三振を量産するタイプではないが、「アメリカでも三振を奪うときはカーブが多かった」とニコリ。

 198センチの長身から繰り出されるタテに大きく割れるカーブは自信を持つウィニングショットでもあるが、この日の1イニングめにはコントロールがバラついていた。しかし、「リリースポイントを微調整した」とゲームの中での修正能力もアピールした格好だ。

 なお、宮崎1次キャンプ中の12日に行われた紅白戦では2度ボークを取られ、助っ人投手のご多分に漏れずセットポジションに不安を見せたが、「それ以降、ブルペンでも意識して投げてきた。もう、ボークを取られることはないと思うよ」とおどけて見せるなど、この部分からも適応能力の高さがうかがえる。

 昨季14勝を挙げたM.マイコラスがメジャーに復帰し、先発陣の強化、見極めは今春キャンプの最重要課題の1つ。もちろんヤングマンも有力候補の1人ではあるが、超えなければならない山がある。

 一軍の外国人枠「4」は投手に来日7年目のS.マシソン、昨季29セーブで今季もクローザーを期待されるA.カミネロ、野手では昨季リーグ2位の打率を残したC.マギーに、本塁打王で中日から移籍のA.ゲレーロがおり、キャンプスタート時点ではヤングマンは5番手の位置付け。とはいえ、評価は日増しに高まっており、この日のようなピッチングを続ければ、序列を崩すことにつながるだろう。

 ヤングマン自身は「もし開幕二軍だとしても、一軍に上がれるように頑張るだけです。自分が決めることではありません」と柔軟に対応することを受け入れているが、高橋由伸監督は試合後、「相手が打ちづらそうにしているね」と絶賛。「(誰を一軍に残すかは)日本人選手との兼ね合いにもなると思います。4人は実績も経験もある選手だけど、安心せずしっかりやってもらわないと」と他の外国人選手4人にもはっぱをかけた。

 キャンプも終盤戦に突入し、この後、オープン戦と続いていくが、第5の男は指揮官を悩ませ続けることができるか。

文=坂本匠 写真=小山真司
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング