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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画116】『特集 巨人六月危機の内幕』【1960年6月29日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『記録で武装する球団参謀本部〜スコアラーという名のお目付け役』


表紙は南海・野村克也


 今回は『1960年6月29日号』。定価は30円だ。本文巻頭は『巨人六月危機の内幕』。6月6日時点でセ・リーグは、巨人は勝率5割で中日に2ゲーム差の2位だが、以下広島、大洋がゲーム差なし、5、6位の阪神、国鉄も僅差につける空前の大混戦となっていた。

 見出しからして悲壮感が漂う。カッコ内は要旨。「一人苦悶する長嶋の姿」(打線で孤軍奮闘の長嶋茂雄。サインにない三盗で憤死するなど空回りが目立った)、「エース藤田の悲壮な登板」(故障を抱え、終盤は肩が上がらぬ中で完投した藤田元司)、「昔の夢を捨てきれない水原」(「今の巨人は、そんなに強くないんだ」と言いながらもスクイズを嫌うなど、挑戦者になりきれない水原茂監督)、「選手は悲観していないが…」(リーグ最下位のチーム打率。不振に苦しむ選手たちの声)、「必ずやってくる“六月危機”」(このままではさらに低迷するだろう、という評論家たちの声)。

『記録で武装する球団参謀本部〜スコアラーという名のお目付け役』という記事もあった。南海・尾張スコアラーがスコアラーの先駆けと言われるが、この年になるとパの各球団も充実し始め、特に大毎が目立っていたらしい。

『パ・リーグ奇妙なできごと』では、西鉄・中西太が義理の父・三原脩が指揮する大洋に移籍するのではなど、いわゆるウワサ話の検証。東映がホームの駒沢で強く、ビジターでは負け越している理由については、張本勲が「うちはいつも三等車だもんな。一度も二等車に乗せて遠征させてみろよ。きっと勝ち星はもっともっと増えるよ」と語っていた。ほか大阪出身の選手が多いので、どうしても関西遠征では“お座敷”が増える、駒沢では熱狂的なファンが支えているから、など理由が書かれていた。

『プロ野球の殺しやたち』は、タイトルこそ物騒だが、いわゆる「○○キラー」の紹介だ。巨人キラーは大洋の左腕・鈴木隆。「俺はこれからも巨人を負かし続けていく。俺が五体満足でいるかぎり、巨人をこてんこてんにやっつけてやるんだ」と鼻息は荒い。東映キラーは南海・杉浦忠。17連勝というからすごい。

 5月26日、大毎の榎本喜八が素振りをしていた際、それがチームメートの柳田利夫のアゴにまともに当たる事故の記事もあった。繊細な榎本はその際、気を失ってしまったという。
なお、以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。

 現在、週刊ベース60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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