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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画121】『プロ野球巌流島の決戦をみて…五味康祐 特集 鶴岡戦法とスタンカのビーン・ボール』【1960年8月3日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『三原脩をくいとめろ!〜優勝したらかなわんと恐怖する監督たち』


表紙は中日森徹


 今回は『1960年8月3日号』。定価は30円だ。

 本文巻頭は『特別寄稿 プロ野球巌流島決戦を見て』。巨人─大洋戦を観戦した小説家・五味康祐の寄稿だ。大の巨人ファンだけに、いまの低迷が許せぬようで、水原茂監督を「あなたは、恥ずかしくないのか」と厳しく責めている。

 続く特集は『三原脩をくいとめろ!〜優勝したらかなわんと恐怖する監督たち』。混戦が続くセだが、ついに大洋が首位中日に1.5ゲーム差の2位となった(7月10日現在)。

 ただ、弱者の戦法というのか、劣勢でやたらとタイムをかけるなど、相手心理を揺さぶる策略が多い三原監督に他球団の監督は、かなりいらいらしていたようだ。

 パは南海、大毎の首位争いが熾烈を極めていた。『鶴岡戦法とスタンカのビーン・ボール』では、7月2日からの直接対決3連戦をレポート。争点となったのは、南海スタンカのビーン・ボールだ。第2戦に先発し、死球を含め、打者の頭部を狙ったかのような球が複数。大毎打者、西本幸雄監督も何度か審判にアピールしたが、認められなかったという。

 スタンカの言い分は、「私は日本に来てから1球たりともビーン・ボールは投げていない。これは神に誓っていえる。ただ、投球術の一つとして打者の体の近くに投げ、つぎにアウトコースに投げるという方法は使っている」だった。

 それだけではない。スタンカはこの試合で「スピットボール(球にツバをつけての投球。不規則な変化をすると言われる)」の抗議も受けたが、「単なるクセです。次から気をつけます」でおとがめなし。さらに球審のボールのジャッジに怒り、ホームベースを砂で隠しても、やはりおとがめなしだったらしい。読みながら「いくらなんでも審判は甘すぎる!」と、セの監督同様、イライラしてきた。

 不振の東映は岩本義行監督が休養、保井浩一が代理監督となった。主将の毒島章一は「非常に残念だと思う。しかし、このことで選手の気持ちがバラバラにならぬようなんとかまとめていきたい」と語っている(『この人と一問一答』より)。

佐々木信也連載対談』は大毎の強打者・田宮謙次郎が登場。以下は苦手だった左投手をいかに攻略したかの話だ。

「左投手は逃げたら打てないから、もう腰をピッチャーのほうに持っていくんですよ。それで努めて前に出て、ベースの前にひっつく。ボールが逃げていくように感じるから、前に出て、引っ張らず、来たボールにさからわず打つんですね。ステップする足も投手の足元方向にもっていって」

 以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。

 現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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