週刊ベースボールONLINE

編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

大学球界の頂点を目指す“武大カルテット”

 

国際武道大が誇る4年生投手カルテット(左から伊藤、青野、林、平川)。4人で力を合わせて、悲願の大学日本一を目指す


 Tシャツには「second place」と入っていた。国際武道大は昨年6月の全日本大学選手権で準優勝。創部1984年で初の全国大会での決勝進出(対立大)を果たしたが、惜しくも悲願の大学日本一はならなかった。1981年から母校・東海大を8年率い、1989年から国際武道大を率いる超ベテラン・岩井美樹監督は「ウチとしては、準優勝も上出来」と、過去最高の実績を“形”として残すため、記念Tシャツを制作したという。

 決して「全国2位」で満足したわけではない。2018年、再び、大学球界の頂点を目指す戦いが始まるわけだが、岩井監督が「こんなことは初めてです」と、充実の投手陣に手応えを得ている。昨年の準優勝を経験した4人の投手が、最終学年を迎えるのである。

 武大カルテット――。

 国際武道大が全国26大学連盟の優勝校(九州地区は2校で計27校)が出場する大学選手権へ駒を進めるためには、今春の千葉県大学リーグを勝ち上がらなければならない。リーグ戦1回戦の先発は2、3年時に侍ジャパン大学代表に名を連ねている144キロ左腕・伊藤将司(4年・横浜)。高校時代は淺間大基高濱祐仁(ともに日本ハム)と同級生で、エースとして2年夏、3年春の甲子園出場と実績十分だ。

 2回戦には148キロ右腕・青野善行(4年・市船橋)が控える。高校時代はNPB全12球団が注目した逸材で、全身がバネのような天性の柔軟性が投球にも生かされており、将来性抜群。岩井監督は両先発投手に「6回を投げてくれればいい」と話しており、勝負どころの終盤は救援陣に託す戦略プランを描く。

「7回から残り3イニング、(同点の場合は)タイブレークもいける。できれば、2試合使いたい」と、全幅の信頼を寄せているのが147キロ右腕・平川裕太(4年・東海大浦安)だ。そして、仮に先発が早めに降板した際のロング救援には148キロ右腕・林桂大(4年・銚子商)がブルペンでスタンバイしており、最上級生4人による投手スタッフは心強い限り。伊藤と青野はすでに、プロ志望届を提出することを明言している。

 野手は1年時から経験を積んできた3年生が軸。2015年、侍ジャパンU-18代表でプレーした勝俣翔貴(3年・東海大菅生)、豊田寛(3年・東海大相模)など、旧チームから主力の5選手が投手陣を援護する体制が整っている。

 岩井監督は「まずはリーグ戦を勝たないことには、大学日本一の目標は立てられない」と慎重に語るのもうなずける。千葉県大学リーグは中央学院大、城西国際大、東京情報大と群雄割拠の勢力図。ただ、この大混戦を抜け出すことで、明るい視界が開けてくる。

「先発する自分と青野としては、いつでも行ける林と、抑えの平川がいるのは心強い。1回戦で自分が確実に勝ち、2回戦は青野が勝利投手で5勝ずつできるのが理想です」(伊藤)

「伊藤は好不調に関わらず、負けないピッチャーなので、見習っていきたい。自分は2回戦で投げた試合はすべて勝ち、10戦全勝優勝に貢献したい」(青野)

 昨年の悔しさを糧にして「champion」の文字が入った優勝Tシャツを作ることが、2018年のモチベーションの一つ。だが、先を見る前に基本を忘れない。岩井監督のモットーである「努力・忍耐・根性」を胸に秘め、4月7日の開幕に備えて、目の前の練習に集中していく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング