週刊ベースボールONLINE

週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画130】『特集 選手を眠らせない優勝命令』【1960年10月5日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『大毎カゲの殊勲者うちあけ話』


表紙は左から巨人長嶋茂雄中日森徹


 今回は『1960年10月5日号』。定価は30円だ。巻頭グラビアは『ご機嫌さんの西本監督〜優勝目前の大毎オリオンズ』。2位南海に6ゲーム差をつけ、ほぼ優勝決定のようだ。西本幸雄監督の余裕たっぷりの笑顔もあった。

 本文では『大毎カゲの殊勲者うちあけ話』。その中にこの年から「スコアラーという新職業」(文中)に挑戦する三宅宅三の話もあった。当時は革新的だったらしい。三宅は大毎の試合すべてに大きなスコアブックを持って1球1球、詳細なスコアをつける。ただ、まだ一人なので大毎の試合以外のデータが取れないのが悩みとあった。

 情報戦と言えば、大洋も相当のものだったようだ。本文巻頭は『選手をねむらせない優勝命令』。これは大洋、中日、巨人に絞られたセの優勝争いを各チームの選手へのインタビューを交えながら特集したものだ。

 この中で大洋の選手の座談会を抜粋する。

秋山登(投手) ピッチャー同士でも試合が始まるまで先発が誰か分からない。三原さん(脩。監督)は、例えば僕が先発と指名されていても絶対にしゃべるなというんだからね。

近藤昭仁(セカンド) だから記者の人に聞かれても分からない。隠してるわけじゃなく。

土井淳(捕手) オーダーだって全員がベンチ前でミーティングするときに分かる。スコアボードに出るからね。それとミーティングのとき、三原さんは相手方のピッチャーの攻略法を指示するが、実に細かいね。それと試合の変化をほとんど読んでいて、何回にはこうなるから先取点を取られても焦るなという。感心しちゃうよ。

 さすがマジシャンである。

佐々木信也連載対談11』では、10年連続20勝と3000三振を狙う国鉄・金田正一が登場。28歳だが、やや衰えを感じているらしい。

「スタミナは大丈夫。根性の問題だ。いやー、ナニクソッ、この野郎って気持ちを出さんといかん。またそこには言うに言えないわけがあるんだ。からだが悪かったりなんかしてね。だから自分の悪いとこ欠けているとこはみんな分かってるんだから。これは広言でもなんでもない。過去11年間の国鉄の歴史を見て、うちの悪いバックでもってわしがやってきたということは、多分に自分の実力があったんだからね。ところがもう、三振も取れなくなった。今後はバックの援助が必要だ。そういう時代に変わってきたんだ。それが目に見えて僕らの記録に表れてきてる。自責点なりいろいろな面で。

 だからまだ、このまま落ちるということは、自分では絶対に思わん。まだまだ三振だって一番多いもの。根性があればできるんだ」

 以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。

 現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング