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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画134】『特集 頭(大洋)と力(大毎)の京浜シリーズ』【1960年11月2日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

センターグラビアで大洋の優勝パレード


表紙は大洋・土井淳


 今回は『1960年11月2日号』。定価は30円だ。センターグラビアで大洋の優勝パレードが掲載しているが、川崎市から東京駅前まで約5時間というからすごい。その後には大毎の優勝シーン、西本幸雄監督の胴上げが掲載。巻頭グラビアは日本シリーズ第1戦。初回一死から投げ、勝利投手となった大洋・秋山登が大きく載っていた(1対0)。

 本文巻頭は『頭と力の京浜シリーズ』。守りと三原脩監督の策略が武器の大洋が「頭」、ミサイル打線は看板の大毎が「力」となる。

 三原監督の謀略は試合前からフル回転だ。西本監督との新聞社の対談企画に大幅遅刻。始まってからも「大毎の投手は精神的欠陥があるから必ず自滅作用を起こすだろう」など攻めてくる。

 さらに翌日はテレビで同じ企画。生放送で司会は佐々木信也だったが、放送が始まっても三原監督は現れず、最後、西本監督は怒気をはらんだ声で、「ここには三原監督がいらっしゃらないからはっきり言いますが、大洋はペナントレース大詰めで調子を落とし、他力本願でもたついたが、最後に調子を出し、他力本願で優勝した。うちも大詰めでもたついたが、最後に調子を出し、自力で優勝した。選手権にはきっとその差が出るでしょう」と吐き捨てた。

 さらにさらに、翌日には違うテレビ局で対談。このときは三原監督が45分遅刻した。

 最後は10月10日の共同記者会見。やはり三原監督は30分遅刻したが、西本監督はその10分後にやってきた。一矢報いたというより、むしろ三原監督の術中にはまった感がある。むしろ、このときも定刻にピタリと来て、あの苦虫をかみつぶしたような顔をして待っていたら4連敗はなかったのでは、とも思った。

 実際、采配も、やや三原っぽかった。レギュラーシーズンはミサイル打線で打ち勝ってきたチームながら、第2戦、2対3とリードされた8回表、一死満塁で五番の谷本稔がスクイズ。この球がうまく転がらず、三走がタッチアウト。試合は、そのまま大毎が敗れた。

 三原監督は「打力が看板の大毎さんにしてはちょっとあれでしたな」と笑った後、「ミサイルなんていったって、日本選手権は一流投手が調子を整えて出てくるんですからね。ペナントレースで二流、三流を相手に大量得点をあげたようには、そううまくはいきませんさ」と挑発する。

 対して西本監督は「あのスクイズは作戦としては完全に成功したんだ。意表を突かれた土井は、あわてて満塁なのに、三塁走者にタッチしているではないか。ただ不幸にもあのバントがよく転がらなかっただけだ」と強がった。

 以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。

 現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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