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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画136】『川上コーチにきく“巨人再建論” 後楽園と銀座のS・Fジャイアンツ』【1960年11月16日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

「ジャイアンツの憲章のようなものを作りたい」


表紙は巨人広岡達朗


 今回は『1960年11月16日号』。定価は30円だ。グラビアは巻頭、センターも来日したSFジャイアンツとの日米野球。この年の目玉は、史上最高のセンタープレーヤーとも言われるウィリー・メイズだった。連載『誌上野球教室』で打撃練習でのメイズの連続写真が掲載されているほか、密着リポート『後楽園と銀座のSFジャイアンツ』など、さまざまな企画があったが、その中でメイズたちが、荒っぽいタクシーの運転を「神風タクシー」と呼び、「あれでよくぶつからないものだ」と驚いている話もあった。東南アジアなどでよく聞く話だが、昭和30年代の日本もそれに近い状態だったのだろうか。

 全日本チームでは日本一監督・大洋の三原脩がコーチを辞退。その理由を聞かれ、「その問題はもういいじゃないですか。もうせんさくしないでもらいたいですな」と答えていたが、何かとトラブルを生み出す方だったようだ。

 本文巻頭は『川上コーチにきく巨人軍再建案』。V逸で水原茂監督の退任、さらに川上哲治ヘッドコーチの監督昇格は、ほぼ既定路線となっていた。広岡達朗と西鉄の遊撃手・豊田泰光のトレードもウワサに出ていたというが、豪傑豊田の加入が実現すれば、巨人の歴史も変わっていたかもしれない。

 記事は川上へのロングインタビューで構成。「監督になる」とは明言していないが、明らかにその覚悟を持った答えになっていた。

 その中でジャイアンツの憲章のようなものを作りたいという話もあった。

「ジャイアンツが誕生してから、ずっとここまで来ているのが水原さんでしょう。その次にまあいうたら、いま私でしょう。そういう形できてるんだけれど、伝統はなにかと聞かれたらはっきりしたものがないんだな。だからジャイアンツというのは、こういう一つの線に向かって皆が努力して、皆の気持ちがこれに結集されながら進んでいっている。そういう目標を定めたものがほしい。われわれとしては、そうやっていくと楽なんです。楽というより、指導的にやりやすいんですよ」

 さらに、その具体例として「ドジャースの戦法」「ジャイアンツの戦法」という言葉が出てきた。川上は月刊ベースボールマガジンで連載していたドジャースの戦法を監督になる際、再読し、内容に心酔していたという。

佐々木信也連載対談』には、日本シリーズで大洋に0勝4敗で敗れた大毎の西本幸雄監督が登場。タイトルは『敗軍の将兵を語る』。前回も触れたが、西本監督について解任の噂が飛びかっていた時期だ。ただ、「虚脱状態」だと苦笑する西本は、佐々木に尋ねられても、はっきりとは答えず。全体に話は弾みながらも、あまり中身のない対談になっていた。

 巨人、大毎以外も監督が揺れていたオフで、『監督の座をめぐって』という記事では、中日新監督となった濃人渉、国鉄・宇野光雄監督の退陣騒動、大下弘の東映監督就任説が検証されている。

 以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。

 現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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