球のキレもあった。この年は7勝6敗
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか紹介していく。今回は3月13日だ。
2006年オフ、横浜(現
DeNA)から
巨人にFA権を行使して移籍した
門倉健の人的補償となったのは、なんと大ベテランの
工藤公康(現
ソフトバンク監督)。プライドが傷ついたのでは思うのだが、まったく表には出さず、「ハマのおじさんと呼んで」と明るく振る舞っていた。
2007年3月13日は、ハマのおじさんの横浜スタジアムデビュー戦だ。
日本ハムとのオープン戦で先発マウンドに立った工藤は、初回、先頭の
田中賢介にストレートの四球を与え、「むちゃくちゃあせった」というが、
森本稀哲の送りバントの後、
稲葉篤紀、
セギノールをいずれも内角速球で三振に斬って取った。「スライダー待ちが見えていたからねえ」と読み勝ちを強調。シンカーも試し投げする余裕を見せ、最終的には5回を3安打1失点と貫録を見せた。
試合後、最速は141キロと聞くと、「146、147キロくらいまでは伸ばさないとね」と笑顔。43歳のおじさんは元気だった。
写真=小山真司