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センバツ現場発

センバツ現場発/スカウトの“正月”に新人スカウトの小山良男、八木智哉、榎康弘らも集結

 

第90回記念選抜高校野球大会が3月23日、阪神甲子園球場で開幕した。球児による13日間(準々決勝翌日の休養日1日を含む)の熱戦が繰り広げられるが、現場でしか分からない「センバツリポート」をお届けしていく。

ネット裏では“熱視線”の春が開幕


3月23日にセンバツ高校野球大会が開幕。NPBスカウトにとっても、2018年スカウティングの球春本格到来である


 3月23日、午前9時開始の開会式前。グラウンドでは選手が真剣勝負を展開していくが、スタンドもすでにヒートアップしていた。将来のスター選手を発掘しようと、全12球団のNPBスカウトが早くも集結。前日22日には毎年恒例の「プロ野球スカウト総会」が開かれ、球春のセンバツ初日はスカウトにとっては“正月”のような位置づけなのである。

 新人スカウトにとっても、特別な一日だ。

 20年ぶりに甲子園へ“帰還”した元甲子園球児がいた。中日小山良男スカウトである。横浜高(神奈川)で捕手として松坂大輔(現中日)とバッテリーを組み、1998年春夏の甲子園連覇。亜大、JR東日本を経て中日でプレーし、引退後はブルペン捕手、コーチを歴任し、今年からスカウトに転身した。

「20年ぶり? プロ野球ではありますけど、高校野球はそうなりますね。甲子園? 特に意識はないですね」

 常に冷静沈着だった現役時代と同様、淡々と語る小山スカウト。その後部席には同じく、今年かから就任した八木智哉スカウトが座っていた。創価大を経て日本ハムオリックス、中日で計12年プレーした左腕も、日本航空高(山梨)で2001年夏の甲子園に出場している。先輩スカウトが後から甲子園に到着すると丁ねいにあいさつし、初々しさを見せていた。

 八木のように現役を引退から即、スカウトになるケースもあるが、ロッテ榎康弘は45歳にして“新天地”に足を踏み入れた。東海大甲府高(山梨)では本格派右腕として1990年春のセンバツ4強。1991年にロッテ入団し、98年に巨人へ移籍、ロッテに復帰した00年に現役を引退。ユニフォームを脱いでからは17年、球団広報一筋(打撃投手兼任時代を含む)だった。

「昨年12月から動いていますが、あいさつ回りが一通り終わったところでセンバツ開幕。まだまだ、慣れないことばかりですよ」

“敏腕広報”としてプロの現場取材を取り仕切っていた立場から、今度は新戦力のアマチュア選手の発掘へ、力を注いでいく。

 ニューフェースの一方で、広島苑田聡彦スカウト統括部長はこの道41年目。現役時代(外野手、内野手)を含めると、カープ一筋51年目の超ベテランである。

「野手は打撃練習、ノックでも判断できますが、投手はいくらブルペン、練習を見ても分からんのですよ」

 リストアップされた表を手にして、73歳はなお、好奇心旺盛だ。

 NPBスカウトは原則、出場36校が一回りする大会7日目の2回戦第2試合まで20試合、視察を続ける。大阪桐蔭高・根尾昂藤原恭大、中央学院高・大谷拓海、東海大相模高・森下翔太、智弁和歌山高・林晃汰など、ドラフト候補にとっては、高校卒業後の進路を決める意味でも重要なアピールの場となる。チェックするスカウトは、細かな動きも見逃さない。甲子園のネット裏では“熱視線の春”が開幕した。

文=岡本朋祐 写真=石井愛子
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