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センバツ現場発

センバツ現場発/球春が最も似合うエース静岡高・春翔一朗

 

第90回記念選抜高校野球大会が3月23日、阪神甲子園球場で開幕した。球児による13日間(準々決勝翌日の休養日1日を含む)の熱戦が繰り広げられるが、現場でしか分からない「センバツリポート」をお届けしていく。

コーナーに集めるのが生命線


1静岡高のエース・春は駒大苫小牧高との2回戦で4安打完封勝ちした


 ポーカーフェイス。春翔一朗は投手としての資質を持っている。駒大苫小牧高との2回戦を前にした試合前取材の10分間、ニコリともせず、淡々と記者の質問に答えていた。

 昨春のセンバツも控え投手としてベンチ入り。不来方高(岩手)との1回戦では左腕エース・池谷蒼大(ヤマハ)を8回から救援して、初戦突破に貢献している。

 2年連続でのセンバツ出場。報道陣から「経験値」について問われると、「やる球場は変わらないが、自分自身は変わっている」と前年は比較材料にはならないと答えた。

 昨秋の東海大会を2年連続で制覇。冬場に取り組んだのはストレートの回転軸を意識することだった。「シュート系、斜めだったので」。ヒントにしたのは先輩・池谷だ。「(昨春の2回戦の)大阪桐蔭打線に対しても真っすぐ一本で挑んでいた。(ボールが)地面と平行だから、ファウルにもさせていた」。キレのあるストレートを磨き、スライダー、カーブ、チェンジアップをコーナーに集めるのが春の生命線。

 春には好調のバロメーターがあった。

「ゴロヒットはOK。とらえられた打球を少なくしていきたい。ゴロの打球が増えていけば、自分のピッチングができている証拠」

 駒大苫小牧高との2回戦はその言葉を体現した。強力打線に的を絞らせず、凡打の山。奪三振ゼロ、84球の省エネ投球で4安打シャットアウト勝ち(7対0)。

 試合後は「ゴロを打たせて、野手にリズムを作ることができた。7点を取ってくれた打線には感謝したい」と、ようやく表情を崩した。

 ところで、春に確認したいことがあった。好きな季節は?

「名字がそうなので、春です(苦笑)。春の男で終わらないように、夏も甲子園に出られるようにしたい。でもまずは、このセンバツで優勝を狙いたい」

 球春が最も似合うエース・春には、次も勝たなければならないモチベーションがある。大石卓哉部長が4月に異動することが決まっており、3月29日に予定される3回戦(聖光学院高と東海大相模高の勝者)がラストゲームになる。「2勝して送り出したい」と、早くも次戦へ気持ちを切り替えていた。

文=岡本朋祐 写真=牛島寿人
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