週刊ベースボールONLINE

センバツ名勝負伝説

【センバツ名勝負伝説05】延長10回、タッチアップからの本塁突入で決着!高知商が初優勝!!

 

いよいよ始まった「第90回記念選抜高校野球大会」。週べONLINEでは歴代の名勝負をピックアップし、1日1試合ずつ紹介していく。

両エースの投げ合い


タイミングは際どかったが……


1980年4月6日決勝
高知商(高知)1−0帝京(東京)

 決勝まで進んだ高知商のエースで四番は、大会No.1投手と言われ、水島新司氏の高校野球漫画の主人公と同じ名字だったことから「球道くん」の愛称で人気者になっていた中西清起だった。

 対するは、東京の強豪・帝京。エースは2年生だった伊東昭光だ。中西は阪神、伊東はヤクルトと、のちのドラフトで1位指名される右腕同士。当時からその能力は高く評価され、予想どおり序盤から息詰まる投手戦となった。

 試合が決まったのは、0対0で突入した10回裏、高知商の攻撃だった。右手中指を突き指し、爪もはがしていたという先頭の七番・堀川潤が、痛みを感じながらも必死にバットを振り抜くと、レフト線を抜く二塁打に。その後、すかさず犠打で一死三塁とした。

 続く九番・小島尚の打球は、レフト定位置より浅いフライ。普通なら自重するケースだが、帝京のレフト・江黒隆順が肩を痛めていたことを知っていた高知商の三塁コーチがGOサイン。堀川がタッチアップでホームに頭から突っ込んだ。際どいタイミングながら球審の手がすっと上がり、セーフ。高知商のサヨナラ勝ちだ。堀川はガッツポーズして飛び上がった。

 ここまで力投を続けてきた伊東はグラウンドに頭を着け、号泣。一方で高知商の選手たちもうれし涙で堀川を囲み、抱き合った。

 帝京打線を5安打に抑え、8三振を奪った中西は「僕だけが騒がれた。その僕を仲間は一生懸命もり立ててくれました。だから絶対に負けられん。抑えなければと思って投げました」。お立ち台でインタビューに応じながら、その頬には涙がいく筋も落ちていた。

 高知商にとっては初優勝でもあった。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング