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プロ野球仰天伝説

【プロ野球仰天伝説96】ビンを投げつけられ、客席に駆け上がり追いかけた長田幸雄【怒れる男たち】

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

外野フェンスをよじ登って……


大洋・長田幸雄


 怒りというより、その怪力と風貌からポパイのニックネームがあった大洋・長田幸雄の身体能力に驚いた話だ。

 1964年7月24日、川崎球場での巨人戦だった。ライトを守っていた長田の背後からウイスキーのビンが飛んできて頭をかすめた。

「巨人戦に強かったんで巨人ファンから小石とかはよく飛んできたけど、これはシャレにならんだろうと」

 振り向くと大洋ファンが投げた男を指さしている。長田はビンを片手に外野フェンスによじ登り、男を追いかけた。

「殴るつもりなんて、ないですよ。危ないだろ、と注意しようとしただけ」

 結構、高いフェンスを駆け上がるのだから、すごい。中学時代までスピードスケートをしていたという下半身のバネもあるのだろう。

 長田はその後、退場にはなったが、投げた観客のほうが悪質だったと、それ以上の処分はなかった。

写真=BBM
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