週刊ベースボールONLINE

編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

明秀日立の快進撃を支える主将の成長

 

打撃だけでなく遊撃の守備でも軽快な動きでチームを勢いづかせる増田陸


「彼の成長が、このチームの成長につながった」。明秀日立高を率いる金沢成奉監督は、センバツを前にそう語っていた。監督自身は光星学院高(現八戸学院光星高)の監督として8度甲子園を経験しているが、明秀日立高として創部初の甲子園出場の立役者に、主将の増田陸の名前を真っ先に挙げた。

 大阪福島シニア出身。中学時代のチームメートには大阪桐蔭高の主将・中川卓也、早実の主将・野村大樹、東海大甲府高の濱将乃介がおり、増田を加えた4人が逸材として当時の大阪では有名だった。いくつもの強豪校から誘いがある中で、増田が最初に声を掛けてくれた明秀日立高を選んだのは、熱意あふれる指導で有名な金沢監督の存在が大きかった。

 1年秋から遊撃のレギュラーをつかんだ増田は、昨夏、新チーム結成にあたり主将に任命されるが、大阪桐蔭高の中川、早実の野村のように全身でチームをけん引していく“キャプテンタイプ”とは異なり、「主将という感覚の持ち主ではなかった」と金沢監督は言う。それでもあえて主将に指名したのは、増田の人間的な成長がチームを大きく飛躍させてくれると感じたからだった。

 練習は厳しかった。新チーム最初の練習は行進からスタート。チームは一体感を欠き、半日以上もグラウンドで行進だけのメニューが続いた。その練習後に増田はダウンした。「チームの気持ちを一つにさせられない。僕では主将は無理です」と監督に訴えた。期待が大きい反面、監督の要求も高く心が折れそうな時期には、大阪の両親に弱音を吐いたこともあった。

 しかし、「泣き言を言うようヤツが日を追うごとにたくましくなっていった」と金沢監督が振り返るように、昨秋の茨城県大会、関東大会を通して、言葉、プレーでチームを積極的に引っ張っていく頼もしい存在へと変貌を遂げる。DeNA細川成也を兄に持つエース右腕・細川拓哉とともに、センバツ出場の大きな原動力となっていった──。

 迎えたセンバツで、増田は瀬戸内高との1回戦で3安打。果敢な姿勢が裏目に出て走塁ミスが出る場面もあったが、1点を追う9回表には値千金の同点適時打を放った。高知高との2回戦でも2安打と攻守に渡り抜群の存在感を放っている。

 明秀日立高は初の甲子園で2回戦を突破。次の相手は春連覇を狙う王者・大阪桐蔭高に決まった(3月31日、第1試合)。相手の主将は大阪福島シニアで二遊間を組んだ中川だ。「(対戦は)本当にうれしいです。自分も強くなったぞと見せたいです。攻めて、攻めて、攻めまくって勝ちたい」と増田は高揚する気持ちを抑えながら意気込みを語る。中学時代とは一回りも二回りも大きくなった姿を聖地で見せつける。
文=滝川和臣 写真=毛受亮介

関連情報

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング