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センバツ現場発

センバツ現場発/大阪桐蔭高・根尾の応援歌『パワプロアプリ「スタジアム」』誕生秘話

 

第90回記念選抜高校野球大会が3月23日、阪神甲子園球場で開幕した。球児による13日間(準々決勝翌日の休養日1日を含む)の熱戦が繰り広げられるが、現場でしか分からない「センバツリポート」をお届けしていく。

ノリが良く、アップテンポな曲調


大阪桐蔭高・根尾の応援歌はノリがよく、甲子園ではすっかり同選手のテーマソングとして定着している


 ブラスバンドの音量により、相手投手が“勝ち”を意識した!? 史上3校目の春連覇を狙う大阪桐蔭高が窮地に追い込まれた。三重高との準決勝は1対2で9回裏の攻撃。先頭打者に根尾昂(3年)が入った。

「五番・ピッチャー、根尾君」が場内アナウンスされたのと同時に、一塁側アルプス席から根尾専用のヒッティングマーチの演奏が始まった。

 楽器を左右に振り、最後に「今だ! チャンスだ! 打て!」の掛け声。そして「かっせ! かっせ! アキラ!」。根尾はストレートの四球を選ぶと、後続のタイムリーで土壇場で同点のホームを踏んだ。一体感のある応援が、マウンドの三重高・定本拓真(3年)にプレッシャーを与えたのだ。大阪桐蔭高はタイブレーク目前の延長12回裏、藤原恭大の左中間二塁打でサヨナラ勝ち(3対2)を収めている。

 根尾は2年春から今春で3季連続の甲子園出場。このオリジナル応援歌は、昨春のセンバツで初お目見えした。野球ゲーム『実況パワフルプロ野球』のBGMである。同校の楽譜にある正式曲名は、『パワプロアプリ「スタジアム」』。ノリが良く、アップテンポな曲調にすぐ魅了されてしまった。

 大阪桐蔭高は吹奏楽部も全国屈指の強豪校として知られ、甲子園出場のたびに新曲を準備してくる。吹奏楽部・梅田隆司監督は“誕生秘話”を語る。

「野球部員でパワプロが好きな生徒がいて、吹奏楽部にも興味のある子がいたんです。そこで『取り入れようか!!』という話になり、コナミさんの楽曲なので、許可をいただいて演奏することになったんです」

 昨春のセンバツ出場が決定してから本格的に動き出し、編曲には約2週間かかったという。

「うまいことアレンジできました。根尾にもマッチした」(梅田監督)

 根尾は大阪桐蔭高入学前から「スーパー中学生」と騒がれたスーパースターだ。昨春の甲子園デビューを同応援歌で飾り、センバツで5年ぶり優勝。同夏も甲子園に流れ「根尾と言えば、パワプロ」がすっかり定着した。

 トロンボーンを担当する女子部員に聞くと「盛り上がるし、楽しいです。根尾君に届くように、メッチャ力が入ります!!」と笑顔を見せた。

「本人も、気に入っているようです」(梅田監督)

 決勝は、智弁和歌山高との頂上決戦。ブラバン常連校同士の“対決”からも目が離せない一戦だが、根尾の応援歌が大観衆の甲子園を支配する時間を味わうのも楽しみの一つである。

文=岡本朋祐 写真=石井愛子
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