今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『監督さん僕が悪かった』
今回は『1961年5月1日号』。定価は30円だ。グラビアではワシントンのグリフィス球場で若きケネディ大統領の始球式シーンがあった。ご存じのとおりスタンドから投げ込むスタイルだ。
本文巻頭は『三原を驚かせた川上の斬り込み』。4月16日のダブルヘッダー(川崎)、
川上哲治新監督に巨人と前年日本一、
三原脩監督の大洋が今季初対決。巨人が連勝を飾った。川上監督の作戦は堅実と当時から評価があったようだが、長嶋茂雄と、決して足の速くない
王貞治の重盗や、その後、長嶋への本盗サインと、意外と思い切った策をとっていたようだ。
『監督さん僕が悪かった』では、試合に姿を見せなかった東映の捕手・
山本八郎の話だ。「またケンカをやらかしたらしい」とウワサが飛んだが、実は練習を無断で欠席した山本に
水原茂監督がベンチ入りを許可しなかったらしい。山本は後日、水原の自宅に行き、謝罪。復帰が許された。山本は、大川博社長のお気に入りで、それまではかなりわがままに振る舞っていたが、水原は許さなかった。
『12球団週間報告』の国鉄編では「待望の応援団誕生」とあった。いままで甲子園球場では関西地区の国鉄職員による応援があったようだが、本拠地の後楽園をはじめ関東では笛すら鳴らぬ状態だったという。このたびは東京地区国鉄職員の有志が集まり、結成の運びとなった。
国労財政部長の中川さんは、
「闘争は闘争、野球は野球。スワローズの応援については、あくまで割り切って労使協調でいきますよ」
と語っていた。当時の国鉄は過激な組合運動で有名で、3月にはストがあったらしい。
近鉄のエース格の投手ミケンズの来日が遅れ「わがまま」と批判を浴びていた記事もあった。近鉄の同年初勝利は、もう一人の助っ人、ボトラだ。捕手として来日し、2年目から投手をしている変わり種。大の親日家で、「嫁にするなら日本の女性のほうがおしとやかでいい」そうだ。副業のボトラ商会も好調らしい。
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では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM