長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

やむを得ない同室

　1949年に別所毅彦が南海から巨人入りして以来、別所の同室は、ほとんど千葉茂と決まっていた。これは実のところ、非常に不思議なことでもある。

　なぜなら、“別所引き抜き事件”とも言われる大騒ぎで巨人が別所を獲得したとき、一番反対したのが千葉だったからだ。

　すぐ三原脩監督に「ワシらがそんなに信頼できないんですか。ワシらだけでも十分、優勝はできます」と談判に行ったくらいだ。

　しかしながら、2人の同室はやむを得ないことだったらしい。それは千葉の歯ぎしり、別所のいびきがあまりにうるさく、みな同室になりたがらなかったからだ。

　ただ、さすがの千葉も時々、別所をうるさく感じることがあったという。麻雀で負けた後だ。どういうことがあったかを全部、千葉に報告し、「なんぼ監督でも間違っているんじゃないか。絶対許さん」とブツブツ。「あれには閉口したわ」と千葉もあきれ顔だったそうだ。

写真＝BBM