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高校野球リポート

78年夏、PL学園高を率いて頂点へ。母校・法政二高の復活に情熱を燃やす山本泰氏

 

記念大会に感じる“予兆”


元近鉄、元マリナーズスカウトの山本泰氏は昨年10月から母校・法政二高を指導している


 ゆっくりしようと思ったのに……と言いながら、野球への情熱はまったく衰えていなかった。山本泰氏が昨年10月から母校・法政二高を指導している。かつて南海監督で黄金期を築いた鶴岡一人氏を父に持ち、PL学園高を率いた1978年夏には全国制覇へ導いた。大産大高、法大監督を務めた後は近鉄、マリナーズのスカウトを長く務めた。

 学校、野球部からの要請に、断る理由はなかった。昨秋、12年ぶりに復帰した根本恭一監督をサポート。同校は3学年で部員100人以上の大所帯であり、根本監督は多忙な校務でグラウンドに出るのが遅れることもあるため、目の行き届かない部分を補う役割も担う。

「経験豊富な方。ありがたいです」と指揮官。キャリア抜群なだけに、高いレベルでの技術指導かと思えば、現実は基礎、基本の反復。冬場は気の遠くなるようなキャッチボール、ペッパー(トスバッティング)の繰り返し。3月24日の川崎地区予選が始まる1週間前までは金属バットを持たせず、竹バットで振り込ませてきた。

 4月7日、県大会2回戦は有馬高に9対0のコールドゲームで初戦突破。

「根本監督が指揮しやすい環境を整えOB、学校関係者の期待に何とか応えたい。素材は他校と比べて劣るかもしれないが、全員が一つの目標に向かって結束すれば、道は開けてくる。少しでも強くして、聖地に連れて行ってあげたい」

 今夏は第100回の記念大会のため、神奈川は南北から計2チームが出場する(法政二高は北神奈川)。北神奈川にはセンバツに出場した東海大相模高、慶応義塾高がいる。山本氏がPL学園高で甲子園の頂点に立ったのは40年前の第60回大会。法政二高が最後に甲子園に出場したのは、昭和最後の夏となった1988年(第70回大会)。山本氏は「まだ、これからのチーム」と慎重だが、平成最後の今夏、しかも、記念大会。何かの“予兆”を感じずにはいられない。

文=岡本朋祐 写真=写真=大賀章好
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