今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 「これがオールスターだ」
今回は『1961年7月24日号』。定価は30円だ。この号は、全体に間近に控えたオールスターの記事が多い。
本文巻頭は『評論家“坊主になれ!”』。シーズン前、ほとんど、いや本誌と月刊ベースボールに登場した12人の野球評論家全員がセの最下位と予想していた国鉄が現在首位に立っている。こうなると国鉄首脳部も「国鉄が優勝したら評論家は坊主になってもらう」と鼻息が荒い(ちなみに坊主になれは僧侶になれ、ではなく、頭を丸めてしまえ、の意)。
ただ、エースの
金田正一は「昨年は最下位だったんだから当たり前さ。だいたいせっかち過ぎるぜ。まだ中盤戦のはじめじゃないか」とクール。
それでも「チャンスといっても、ワシなんかにはそうやたらと巡ってくるわけではない。国鉄に入って12年目で初めてつかもうとするチャンスや。これは大事にしなきゃいかん。それを逃がしたら、いつまたチャンスに巡り合えるか。それだけにこっちは真剣なんや」と真顔できっぱり。
正直、打線は力不足だったが、投手陣は金田をはじめ、
北川芳男、
村田元一、完全試合男の
森滝義巳らがいた。最終的には3位だったが、チーム防御率2.29はリーグ最高だった。
巨人・
川上哲治監督は新聞記者に「君たち国鉄優勝説をデカデカと書いてくれんかな」と冗談とも本気ともつかぬ口調で言っていたという。要は、プレッシャーを、ということだろう。
『
佐々木信也連載対談』では「これがオールスターだ」と題し、オールスター男と言われ、いつも賞品をごっそり持ち帰る大毎・
山内和弘が登場。球宴に強い理由について以下のように話している。
「いいピッチャーが出て、しかも大きな試合になると無我の境地に入れるわけね。そうなると自分のバッティングに力が入らんわけよ。なんとかあそこまで打とうとか、こっちに打とうという、変なヤマをかけたり、雑なバッティングにならんわけや。いいピッチャーだから、ただ芯に当てよう、うまくミートしようというスウィングで、それがたまたまいい結果になるわけよ」
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では、またあした
<次回に続く>
写真=BBM