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神奈川で私学3校を撃破!準々決勝に挑む“公立”金沢高に注目!!

 

カギを握る終盤3イニングの攻防


金沢高の3年生右腕・田中は湘南工大付高、星槎国際湘南高、横浜隼人高と私学3校を撃破し、快進撃の立役者となっている


 全国屈指の激戦区・神奈川は準々決勝以降の戦いは「別世界」と言われる。上位8校に入るのは大変なことであり、私学優勢の戦力構図にあって、公立校にとってはさらに狭き門となる。

 2017年春は16強に2校(大和南高、弥栄高)、同夏も16強に2校(大師高、氷取沢高)が入るのがやっとであり、同秋は磯子高が唯一の8強進出。準々決勝へコマを進めたのは15年秋の川崎北高、川和高以来だった。

 そして、今春は3校が8強入りをかけた4回戦に臨んだものの、白山高と橘高が敗退。最後の1校に残ったのが、金沢高である。

 金沢高は横浜地区予選で磯子高を6対5で下して、Kブロック3連勝で県大会進出。県大会では2回戦で湘南工大付高を7対0で下すと、昨春の4強・星槎国際湘南高との3回戦も4対3で突破。そして、2009年夏に甲子園出場実績のある県上位常連の横浜隼人高も3対2で下して8強へ進出した。

 快進撃の立役者となっているのが、3試合連続完投の3年生右腕・田中翔也だ。夏場は腰椎分離症で3カ月プレーできず、昨秋の県大会も登板できなかった。「今回はやらないといけない」。故障期間中の地道なトレーニングが今春の飛躍につながり「この3試合で自信になった。相手は強くなっていくが、意識して力が入るとボールがいかない。冷静に投げている」と、コーナーに丁寧にボールを集めている。

 金沢高はベンチ入り25人に満たない17人。1年生11人はまだ、メンバー入りしておらず、3年生13人と2年生4人で戦っている。進学校であり、週3回は7限まで授業があり、練習開始は17時前。しかも、19時完全下校と、学業との両立で集中して練習をこなしている。

 準々決勝(4月22日)の相手は昨秋の4強・鎌倉学園高。3月の練習試合では6対1で勝っており、田中も「打線のイメージはできている」と不敵な笑みを浮かべる。李剛監督は言う。

「神奈川で10年以上やっていますが、(私学と対戦して)『勝った』と思った瞬間に引っ繰り返される。残り9個のアウトをテーマにずっと練習してきた」

 つまり、勝負は終盤3イニングの攻防がカギを握る。金沢高としては、中盤まで何とかしのぐのが理想の展開。レギュラーで中学時代に硬式野球経験者は2人のみ。李監督が「中学までは普通の選手だったが、高校で野球と勉強を努力して、たたき上げてきた選手たち」と目を細める17人の戦いから目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=大賀章好
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