週刊ベースボールONLINE

高校野球リポート

先輩・清宮幸太郎をもしのぐ早実・野村大樹の規格外の一発!

 

4強進出へ導いた高校通算56号


早実の四番・野村は関東一高との準々決勝で1回裏に逆転2ラン。高校通算56号が勝利に結びつき4強へ進出した。背後にはライバル捕手の姿があった


 一発で仕留めた。関東一高との準々決勝。早実は初回に先制点を奪われたが、その裏、二死一塁から打席には四番・野村大樹(3年)を迎えた。

「初球のストレートをたたいていこうと思った」と、ややボール気味だったが迷わず強振すると、左越えの逆転2ラン。1学年先輩の清宮幸太郎日本ハム)をもしのぐ規格外の飛距離に、神宮第二球場の観衆は騒然とした。

 このアーチで主導権を握った早実は着実に追加点を重ね、相手の終盤の猛攻を食い止め6対4で準決勝に進出した。

 もちろん、関東一高という学校との対戦だが、野村には「個人的な感情」もあった。相手捕手・石𣘺康太(3年)はプロ注目の右スラッガー。「意識していました。素晴らしいキャッチャーですから。なぜか、親からも『絶対、負けるな』と。どうせやるなら、No.1になりたい」。

 4点リードの最終回こそ、2点適時打を浴びたが、1、3回は得点圏の好機で空振り三振に奪っている。石𣘺だけでなく、全国を見渡しても、同級生捕手へのライバル心をむき出しにする。

「(センバツで連覇を遂げた大阪)桐蔭のキャッチャー(小泉航平)もいる。その中でも一番になりたい」。主将でもある野村は、自身のレベルアップをどん欲的に語る。

 昨秋は東京大会3回戦敗退。冬場は下半身のウエート・トレーニングに加え、早実の先輩・山縣有輔(新日鐵住金かずさマジックコーチ兼選手)から捕手としての基本動作を反復練習する中で、強じんな体に成長。「最近、飛距離が出るんです。やってきたことが正しいと証明された」と自画自賛のアーチだった。

 早実・和泉実監督は「マークが厳しい中、1試合でフルスイングできるボールは少ない。初球につかまえてくれたのは大きい。それにしても、飛んだね〜」と、さすがに驚きの表情を見せた。

「(昨秋は)3回戦のチームが、一つひとつ公式戦でやれているのは、大きいこと」(和泉監督)。高校生は緊張感のあるゲームでこそ、練習の何十倍もの成果を得られる、と言われる。3年ぶりの夏の甲子園出場を目指す西東京大会へ向け、早実は着々と“自信”を取り戻している。

文=岡本朋祐 写真=桜井ひとし
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング