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独特のオープンスタンス。横浜高の四番に抜擢された強打の捕手

 

打撃好調で六番から四番に


湘南学院高との準々決勝で初めて四番を任された横浜高・角田は、オープンスタンスの独特の構えから、鋭いスイングを見せる。二塁送球1.77秒とプロ顔負けの強肩捕手として、ディフェンスの要だ


 先発が発表される朝のミーティングで、目が点になった。4月22日、春季神奈川県大会、湘南学院高との準々決勝。横浜高・平田徹監督から角田康生(3年)に告げられたのは、まさかの打順だった。

「四番? 初めてです。ビックリしました。最初は緊張しましたが、慣れてきてからは楽しかったです」(角田)

 栃木・明治中時代は栃木下野シニアに在籍して、全国大会出場。「右の強打の捕手」として名門・横浜高からの勧誘に、迷わず、神奈川で勝負する覚悟を決めた。

 1年夏、2年夏の甲子園もベンチ入りしているが出場機会はなし。一塁、外野の控えに加え、左投手に強いことから、代打要員としてもチームに欠かせないスーパーサブだった。

 同秋も背番号20。チームは準々決勝で鎌倉学園高に8回コールド敗退(8対15)を喫した。大会後、角田は平田監督に呼ばれた。

「外野とキャッチャー、どちらで行くか?」

「最後はキャッチャーで勝負したいです!!」

 誰よりも練習量をこなし、基礎基本から捕手技術を高めた。角田にはプロも顔負けの二塁送球1.77秒という強肩がある。一冬を越え、捕手出身である平田監督からの信頼を受け、この春から背番号2を着けている。

 今大会、2回戦から4回戦までは六番だったが、打撃好調により、準々決勝では角田が四番に抜てきされた。「両目のほうが見やすい」と極端なオープンスタンスから始動する独特なフォームは、年明けから試行錯誤して作り上げた。バットを胸の前に出し、トップに入るのが遅れそうな気もするが、平田監督は「型にははめさせない。任せている」と容認している。

 2打席凡退の後、四球を挟んで、9対1で迎えた6回裏の第4打席。一死一塁から真っすぐを左中間へ運んだ。6回コールド(5回10点差以上)を決める豪快な2ラン(高校通算5号)だった。

「ホッとしました。1本打てて良かったです」と、四番としての仕事を遂げ、安堵の様子を見せものの、捕手の話題になると、一気に表情を引き締めた。

 4回表に今大会初失点。「攻めておけば良かった」と、初球に痛打を浴びたリードを悔やんだ。チームとしても「1対0で勝つ野球」を目指しており、この春も無失点を目標に掲げていただけに、角田は「点を取られなければ、負けることはない」と反省を口にする。

 苦節2年で、ようやくつかんだ定位置。昨秋以降、平田監督は横浜高の伝統であるバッテリーを中心とした「負けない野球」の浸透を徹底させている。エース左腕・板川佳矢(3年)とコンビを組む強肩捕手・角田がそのキーマンとなる。4月28日に予定される準決勝は、因縁の相手・鎌倉学園高だ。悪夢のコールド負けから、真価が問われる一戦となる。

文=岡本朋祐 写真=長尾亜紀
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