今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 石原裕次郎のエール『茂雄! チャンスを逃すな』
今回は『1961年9月11日号』。定価は30円だ。グラビア巻頭は『まさに長嶋ジャイアンツ』。好調が続く巨人・長嶋茂雄の雄姿だ。『記録の手帖から』も「長嶋の三冠王は実現するか?」となっている。8月28日現在、打率.372、24本塁打、68打点ですべてトップ。このうち打率は2位・
近藤和彦に.070差、ホームランは2位・桑田武(いずれも大洋)に6本差と大差で、ほぼ確定と言ってよさそうだが、問題は打点。こちらは桑田にわずか4点差だ。記事の分析によれば、長嶋が勝負どころでの敬遠が多いことに加え、桑田とは前の打者の成績が違うことを挙げている。三番打者は巨人が打率.221、出塁率.311に対し、大洋は.290、.377。大洋の三番は打率.302の近藤和が入ることが多かった。
長嶋に頼もしいエールも届いていた。俳優・石原裕次郎だ。『茂雄! チャンスを逃すな』という記事では、弟分とかわいがっていた長嶋に対し、「シゲの三冠王は、俺は必ずやれると思うよ」ときっぱり。ただ、敬遠攻めには不満を爆発させた。
「何も俺はシゲに打たせろなんて言ってはいないよ。もっと正々堂々と試合をしたらいいと思うんだ。魅力もないくだらないゲームをやられて、しかもシゲが出てくれば敬遠ときちゃうんじゃ、とても見る気はしないね」
本文巻頭は『別所コーチへの公開状』。投手陣が崩壊状態となっている巨人の投手コーチ、
別所毅彦への批判記事だ。別所はエース格の
藤田元司、
堀本律雄が故障で苦しむ中、「エース主義」ではなく、「ローテーション」を導入し、やり繰りしていた。ただ、周囲からは、「次から次へと軸になる投手を代えていったことが、逆に投手に軽い気持ちを起こさせた。つまり、俺がダメになっても、次に誰かがやってくれるだろうという他力本願的な考え方である」と批判が集まっていたらしい。
パでは南海が急失速。にわかに東映、西鉄にも優勝の芽が出てきた。
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では、またあした
<次回に続く>
写真=BBM